ジョー・バイデン米大統領と、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は26日、ホワイトハウスで首脳会談を行い、米国の「核の傘」に象徴される拡大抑止の強化を具体化した共同文書「ワシントン宣言」を発表した。日本も、中国とロシア、北朝鮮という核保有国に囲まれているが、「核抑止の議論」は盛り上がらない。岸田文雄首相は来月広島で開催されるG7(先進7カ国)首脳会議で「核兵器のない世界」を発信する予定だが、国民をどう守るのか。
バイデン氏「拡大抑止を強化し、北朝鮮の核の脅威に対応する賢明な一歩だ」
尹氏「北朝鮮が核攻撃を行った場合、直ちに米韓で首脳協議をすることで合意した」
両首脳は共同記者会見で、こう発言した。
米政府高官によると、ワシントン宣言の柱は、「米韓の核戦略計画に関する協議体新設」で、定期的に協議して有事の際の対応や考えを共有する。具体的行動としては、「米韓合同軍事演習の拡充」や、「弾道ミサイルを搭載可能な米戦略原子力潜水艦の韓国派遣」など、米戦略兵器の頻繁な韓国展開を行っていく。
北朝鮮の核・ミサイル開発の進展を受け、韓国内では「米国は自国が攻撃の危険にさらされても韓国を守ってくれるのか」という懸念が広がった。ロシアによるウクライナ侵略も加わり、韓国の世論調査では、自国を守るために核兵器の国内配備に賛成する意見は7割を超えている。
日本でも、安倍晋三元首相がウクライナ侵攻を受けて、国民の生命と財産、国家の独立を守るため「核抑止の議論」を提唱したが、昨年7月の暗殺事件後、日本政界では議論が盛り上がっていない。
日韓の危機感の差は何なのか。
国際政治に詳しい福井県立大学の島田洋一名誉教授は「韓国は、尹氏自ら『独自の核武装』の可能性に言及していた。米国はこれまで以上に『核の傘』を強化する意思表示を行った。一方、日本は岸田首相を筆頭に『非核三原則』の維持を訴えている」といい、続けた。
「安倍氏は生前、『核抑止の議論』に踏み込んで先鞭(せんべん)をつけたが、後に続く政治家が出てこない。(安全保障の危機を前にして)自民党の防衛相経験者が、LGBT法案を推進している。野党もつまらないスキャンダルばかりを取り上げている。自民党の議員などが、真剣な姿勢を打ち出さないと、バイデン政権はリアクションしないだろう」