周辺住民「訴訟起こせる」 大阪市の納骨堂経営許可巡り最高裁、1審で改めて審理

大阪市淀川区の住宅地に建つビル型納骨堂を巡り、周辺住民が市に対し経営許可の取り消しなどを求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(林道晴裁判長)は9日、市側の上告を棄却した。訴訟を起こす資格(原告適格)がないとして住民側の請求を退けた1審大阪地裁判決を変更し、1審に差し戻すとした2審大阪高裁判決を支持。市が出した経営許可を取り消すべきか改めて審理し直されることになった。
判決によると、納骨堂は6階建てビルで、約6千基を収納可能。大阪府門真市の宗教法人が平成29年2月に大阪市から許可を受け、令和2年4月から運営しているが、施設から100メートル以内に住む住民が「市側が十分に検討しないまま許可を出した」などと訴えていた。
墓地埋葬法に基づく大阪市の細則では、学校や病院、人家からおおむね300メートル以内の場所について、付近の生活環境を著しく損なう恐れがないと市長が認める場合を除き、墓地などを設置することを禁止すると定めている。
1審判決では、こうした市の細則は「住民の個別的利益を保護するためのものではない」として、原告適格がないと判断。一方、2審判決では原告適格があるとされたため、市側が上告していた。
この日の上告審判決で同小法廷は、市の細則について「おおむね300メートル以内に住む人が平穏に日常生活を送る法律上の利益を保護する趣旨を含む規定だ」と指摘。住民側には訴訟を起こす資格があると結論づけた。
大阪市の横山英幸市長は「判決文を確認し、代理人弁護士と相談の上、対応したい」とするコメントを出した。