加藤厚生労働相は12日午前の記者会見で、マイナンバーカードと一体化した健康保険証に、別人の情報が搭載された事例が確認されたことを明らかにした。健康保険組合などが加入者の保険証とマイナカードを連携させる際、入力を誤ったことが原因とみられる。厚労省は、関係機関に対し、原因究明と再発防止を要請した。
厚労省によると、医療機関などで受診の際、一体化した保険証を使って発覚した。別人の薬剤や医療費などの個人情報が閲覧できる状態だったといい、これまでに同様の事案が5件確認された。
一体化のためには、健康保険組合などが、健康保険証とマイナカードの情報をひも付ける必要があるが、その際に入力を誤ったとみられる。加藤氏は「一斉にチェックし、今後、そうしたことが起こらないよう、入力時に十分配慮することを徹底させる」と述べた。政府は2024年秋に現行の健康保険証を廃止して、マイナカードに一本化することを目指している。
マイナカードを巡っては、コンビニエンスストアで証明書を取得できるサービスで、別人の書類が誤って交付された問題も起きている。総務省は12日、システムを提供する富士通Japanと親会社の富士通から11日に事情を聞き、再発防止を求めたと発表した。松本総務相が12日午前の記者会見で明らかにした。
システムに負荷がかかる環境での動作確認や運用監視体制の強化、システムの改善なども要請したという。
松本氏は「証明書発行に関するシステムの不具合で、マイナンバーカードの本人確認の仕組みの問題ではない」との認識を示した。