東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、大会組織委員会元理事の高橋治之被告(79)=受託収賄罪で起訴=側への贈賄罪に問われた広告大手「ADKホールディングス」元社長植野伸一被告(69)の公判が16日、東京地裁(友重雅裕裁判長)であった。検察側は「長期間繰り返し請託を行い、貪欲で執拗(しつよう)だ」として懲役2年を求刑。弁護側は執行猶予を求め結審した。判決は7月12日。
検察側は論告で、ADK側による高橋被告への便宜の依頼は「植野被告が部下らに指示し、自らも直接行った」と指摘。「賄賂供与の継続について最終判断を下すなど不可欠な役割を果たし、責任は重い」と非難した。
弁護側は最終弁論で、「高橋被告へのお願いは儀礼的なものだった」として便宜を期待する意図を否定。支払ったコンサルタント料のうち、謝礼の趣旨はごく一部にとどまり、「違法性は非常に低い」と主張した。
植野被告は「国民の信頼を大きく損ねてしまい深く反省しています。申し訳ありませんでした」と意見陳述した。
起訴状によると、植野被告は部下らと共謀し、高橋被告に便宜供与を依頼。2017年11月~22年1月、見返りに計約4700万円を送金したとされ、うち公訴時効(3年)が経過していない計約1400万円の贈賄罪に問われた。
[時事通信社]