ロシアの侵攻を受けたウクライナで復興を担当する省庁や地方自治体の行政官らが来日し、16日、千葉県松戸市の国土交通省関東技術事務所でがれき処理の技術を視察した。26日まで神戸市や広島市を訪問し、震災や戦災からの復興で得られた知見を共有する。
国際協力機構(JICA)の招待で11人が来日した。この日は重機を遠隔操作できる装置の実演を見学した。日本では土砂災害など二次被害の恐れがある現場で使われるが、ウクライナでは、ミサイル攻撃で生じたがれきの中に不発弾があるようなケースでの活用が考えられている。
国連などが今年3月に発表した推計によると、ロシアの攻撃でウクライナの住宅やインフラ施設が受けた損害は1350億ドル相当に上る。現地ではインフラ復旧やがれきの処理、被害を受けた建物を壊すか修復するかの判断など多岐にわたる課題があるという。
ウクライナ復興省で国際協力担当のイーゴル・コルホウィーさんは、「ロシアによる破壊は甚大だ。(遠隔操作技術があれば)危険にさらされることなくがれきを撤去できる。私たちが抱える課題の解決策となりうる」と話した。今後の日程では「ウクライナでは地方が強い権限を持っている。日本の地方自治体が、震災からの復興過程で、どのような役割や責任を負ったかも知りたい」と期待した。【五十嵐朋子】