富士山噴火〝不気味〟リスク 震度5弱の新島・神津島地震、富士火山帯での地震に「関連の可能性はある」島村教授

伊豆諸島の利島(東京都)で22日午後、最大震度5弱を観測する地震があった。その後も周辺では揺れが相次いでいる。一帯は2000年の三宅島の噴火後に群発地震が襲った地域で、富士山を含む火山帯として知られる。江戸中期以来、噴火していない富士山の大規模噴火に警鐘を鳴らす声も挙がる。
震源は新島・神津島近海で、震源の深さは11キロ。地震の規模はマグニチュード(M)5・3だった。利島や新島では22日午前から震度1~3の地震があり、震度5弱の揺れの後も震度4などの地震が相次いだ。
気象庁のデータベースによると、同震源で震度5弱以上は今回の地震を除き31回観測されているが、大半は三宅島が噴火した00年7月以降に発生している。
夕刊フジで「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」(毎週木曜)を連載する武蔵野学院大の島村英紀特任教授は「震源周辺は火山島が多く、過去にたびたび群発地震も起きてきたが、今回も火山性地震とみられる。今後も大きな地震が続くのか注視される。東日本火山帯のうち、富士山から箱根、伊豆諸島にかけて富士火山帯と呼ばれる一帯であり、富士山噴火との関連があるかもしれない」と推測する。
富士山では過去5600年間で約180回の噴火があったとされる。直近では、江戸時代中期の1707年の「宝永噴火」が最後だ。もし噴火すれば、噴石や溶岩流、火砕流などの懸念もあるほか、首都圏でも2センチの火山灰が積もると想定されるなど甚大な被害が予想される。山梨、静岡、神奈川の3県や国などで構成する富士山火山防災対策協議会は3月下旬に、新たな避難基本計画を策定するなど警戒感も高まっている。
災害史に詳しい立命館大学環太平洋文明研究センターの高橋学特任教授は「今後、富士山や愛鷹山(あしたかやま)、箱根、伊豆大島、三宅島など伊豆や小笠原諸島一帯のいずれかで噴火する可能性が高い。最も長い期間、噴火していないのは富士山だ。噴火前に、いわゆる『南海トラフ地震』など大地震を伴うことも考えられるので注意が必要だ」と語った。