信号機用の白熱電球の生産終了が5年後に迫る中、三重県内の約3万6000灯の信号機の約半数が、発光ダイオード(LED)に更新できていないことが県警への取材で分かった。現状の交換ペースでは完了には25年以上かかる計算で、三重県や県警は対応に追われている。(小林加央)
県警によると、国内で信号機用の白熱電球を販売しているのはパナソニック(大阪府門真市)と東芝(東京都港区)のみ。昨年9月、両社から三重県警に「2028年3月で白熱電球の生産を終える」との連絡があった。パナソニックによると白熱電球の需要が減り、材料の調達も難しくなったために製造終了を決めたという。
LED式信号機は、白熱電球式と比べて、約10年と発光寿命が長いなどの利点が多く、白熱電球で1年ごとに必要だった交換の手間が減る。視認性も良いため、点灯していない所が点灯しているように見える「疑似点灯」も起きにくい。消費電力も10ワットと、6分の1程度に済むという。
三重県警は信号機のLED化を02年から進めてきたが、21年度末時点でのLED化率は車両用が全国41位、歩行者用が全国36位と低迷。今年3月末で県内3万6405灯ある信号機のうち、交換が済んだのは1万9396灯、53・3%にとどまっている。
今年度は650灯を交換する予定だが、このペースでいくと、全てを交換するまでには25年以上かかる計算になる。県警交通規制課は「LED化が遅れることで安全に支障を来すことはあってはならない」と更新計画の策定を急いでいる。
一方で、円滑に更新を進めるには、予算の確保が課題となる。
信号機をLEDに更新するためには、電球を入れ替えるだけでなく、信号機本体の交換も必要なため、費用がかさむ。
三重県内に残る、全ての白熱電球式の信号機を更新するには、約50億円が必要だといい、県財政課は信号のLED化は県の予算だけでは賄いきれないとして、国にも負担を求める考えだ。
同課は「(信号のLED化は)全国的な問題。国に働きかける必要がある」としている。