LGBTなど性的少数者への理解増進を図る法案をめぐり、日本維新の会と国民民主党が対案を検討している。自民、公明両党が国会提出した案をもとに、「女性の権利・保護」や「学校教育」に配慮する内容で、26日に共同提出する方針だ。女性の権利保護を目指す「女性スペースを守る会」の滝本太郎弁護士は対案について、「そもそも法律自体が不要だ」と指摘した。
対案の概要を報じた産経新聞によると、維新と国民民主の対案では「性同一性」の用語を、英語の「ジェンダーアイデンティティー」に置き換えた。自公与党案は「性同一性」、立憲民主、共産、社民3党案は「性自認」と表現しているが、国際的に定着した英語表現を使い、中立的な意味合いをにじませたという。
「女性の性自認」を主張する男性が女子トイレや女湯、女子更衣室などの利用を求める事態を念頭に、女性や児童らの権利侵害を防ぐため、「全ての国民が安心して生活できるよう留意」とする条文を新設する。
米国の学校現場で、性観念が不安定な幼少期にLGBT教育を行うことに保護者が反発・混乱を招いていることを念頭に、学校でのLGBT教育・啓発の規定を「保護者の理解と協力を得て行う心身の発達に応じた教育または啓発」と改めた。
いわゆるLGBT法案には、性同一性障害者らでつくる「性別不合当事者の会」や、女性の権利保護を目指す「女性スペースを守る会」などが反対の立場を表明している。
前出の滝本弁護士はLGBT法について、「必要なく、主な課題は法律になじまない家族間問題と、労働法で解決すべき就職問題だ」と述べ、続けた。
「われわれは特に、『女性の性自認』を主張する男性が、女子トイレなどを使えるよう解釈される可能性が高いと指摘してきた。性犯罪が目的の男が、女性専用のスペースに入るリスクが高まる。女性・女児は、トランス女性よりも弱い立場だ」
「性的少数者の多くは、静かに、普通の生活を送っている。そもそも男こそが男の多様性を承認すべきなのに、推進論者が間違えている。海外では混乱が重なり、英国は『正常化』に舵をきった。国会は、諸外国の法制度と運用を調査し、性犯罪の手口や被害実態も報告させて議論すべきだ」