女性患者の父「共犯医師に罪押し付ける印象」 ALS嘱託殺人初公判で否認の元医師に

難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)の女性患者に依頼され殺害したとして、嘱託殺人などの罪に問われ、29日に行われた元医師の山本直樹被告(45)の初公判。京都地裁では雨の中にもかかわらず、多数の傍聴希望者が抽選に列を作り、事件の注目度の高さをうかがわせた。法廷には事件で亡くなった林優里さん=当時(51)=の父親も姿を見せ、被告側の主張に「共犯者に罪を押し付けているように聞こえた」と言葉少なに語った。
活発な性格だったという林さんは友人も多く、大学卒業後は東京で勤務。ALSを発症し京都に戻った後も、車椅子で旅行へ行ったり外出を楽しんでいた。一方、自身の体が病に侵されていくことにショックを受けていたという。
初公判を傍聴した父親は、山本被告の印象について「こんな(育ちの良さそうな)人間があんなことをしたのか。事件を起こすようには見えなかった」と率直に語った。共犯として起訴されている医師の大久保愉一(よしかず)被告(45)が「(嘱託殺人を)実行した」とする山本被告側の主張には「結局、大久保被告が糸を引いていたのかな。でも大久保被告に罪を押し付けているように聞こえた」とも語った。