「犬のエサ入れと説明受けていた」 覚醒剤密輸巡り52歳男性に無罪判決

荷物に隠して海外から覚醒剤約2キロを密輸したとして、覚醒剤取締法違反(営利目的輸入)や関税法違反(禁制品輸入)の罪に問われた男性(52)の裁判員裁判の判決公判が31日、大阪地裁で開かれた。末弘陽一裁判長は、「(荷物の中が)違法薬物と認識していたとするには合理的疑いが残る」として、無罪を言い渡した。求刑は懲役11年、罰金300万円だった。
判決によると、男性は令和4年5月、交流サイト(SNS)を通じて海外から発送される荷物を受け取る仕事を引き受け、同6月10日に関西国際空港に到着した荷物を受け取った。中身が違法薬物と認識していたかが争点だった。
判決理由で末弘裁判長は、荷物の中身は「犬のエサ入れ」と具体的な説明を受けていたことから、「違法薬物が隠されている可能性にまで想像が及んでいなかったとみる余地がある」と指摘。荷物受け取り時に自身のマイナンバーカードを提示したことも違法性の認識を疑わせる事情と判断した。