ドナルド・トランプ米大統領は24日夜(日本時間25日午前)、フランスでのG7(先進7カ国)首脳会議で、「韓国の態度はひどい」などと、文在寅(ムン・ジェイン)政権を痛烈に批判していた。韓国が日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を一方的に決定したことに、日米両国は「懸念と失望」を表明していたが、トランプ氏自身が激怒していたようだ。文政権による数々の暴挙・愚挙は、北東アジアの安全保障環境を危うくし、戦後の日韓・米韓関係の基盤を崩壊させかねない。こうしたなか、日本はどう国益を守るべきなのか。韓国情勢に精通する評論家の八幡和郎氏が緊急連載「対韓 最後通牒」で迫る。 ◇ 文大統領のやり方を日本人が絶対に許さず、一歩も引き下がるべきでないのは、1965年の日韓国交回復に際して結ばれた「日韓基本条約」や「日韓請求権・経済協力協定」を実質的に否定し、反故(ほご)にするものだからだ。それがいかに重大な背信行為で、深刻な事態なのかを韓国人も認識すべきだが、日本人もしっかり理解しなければ国益を守れない。 日本降伏ののち、朝鮮半島は南北別々に米国とソ連に占領され、日本の統治機構も、韓国人による新政権樹立も否定されて直接軍政下に置かれた。日本の統治機構を維持して、数年後に独立すればよかったが、米国とソ連のわがままが南北分断の悲劇を生んだ。 また、韓国在住の日本人が国際的慣例に反して帰国させられ、官民の莫大(ばくだい)な財産が米軍によって没収され、のちに韓国政府に与えられたのは不当だった。 韓国の李承晩(イ・スンマン)初代大統領は、サンフランシスコ講和条約に戦勝国として参加したがったが、国際社会からまったく相手にされず、条約発効後に、日韓の国交樹立交渉が開始された。 交渉は難航したが、佐藤栄作首相と、朴正煕(パク・チョンヒ)大統領の時代である1965年に大胆な妥協が図られ、日韓基本条約と日韓請求権・経済協力協定、在日韓国人の永住権に関する協定が結ばれた。 日本は交渉の出発点では、韓国に残してきた官民による巨額の財産の補償を求め、「在日韓国人も帰国すべきだ」と主張した。だが、最終的には「韓国を支援することが北東アジアの安定につながる」という判断で、法的にも異例で、莫大な経済協力まで含む韓国に大甘の内容になったというのが大事な視点だ。 そのとき、外務省や世論の反対を抑えて韓国に有利な決着を推進したのは安倍晋三首相の祖父である岸信介元首相と、その人脈の人々であった。
ドナルド・トランプ米大統領は24日夜(日本時間25日午前)、フランスでのG7(先進7カ国)首脳会議で、「韓国の態度はひどい」などと、文在寅(ムン・ジェイン)政権を痛烈に批判していた。韓国が日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を一方的に決定したことに、日米両国は「懸念と失望」を表明していたが、トランプ氏自身が激怒していたようだ。文政権による数々の暴挙・愚挙は、北東アジアの安全保障環境を危うくし、戦後の日韓・米韓関係の基盤を崩壊させかねない。こうしたなか、日本はどう国益を守るべきなのか。韓国情勢に精通する評論家の八幡和郎氏が緊急連載「対韓 最後通牒」で迫る。
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文大統領のやり方を日本人が絶対に許さず、一歩も引き下がるべきでないのは、1965年の日韓国交回復に際して結ばれた「日韓基本条約」や「日韓請求権・経済協力協定」を実質的に否定し、反故(ほご)にするものだからだ。それがいかに重大な背信行為で、深刻な事態なのかを韓国人も認識すべきだが、日本人もしっかり理解しなければ国益を守れない。
日本降伏ののち、朝鮮半島は南北別々に米国とソ連に占領され、日本の統治機構も、韓国人による新政権樹立も否定されて直接軍政下に置かれた。日本の統治機構を維持して、数年後に独立すればよかったが、米国とソ連のわがままが南北分断の悲劇を生んだ。
また、韓国在住の日本人が国際的慣例に反して帰国させられ、官民の莫大(ばくだい)な財産が米軍によって没収され、のちに韓国政府に与えられたのは不当だった。
韓国の李承晩(イ・スンマン)初代大統領は、サンフランシスコ講和条約に戦勝国として参加したがったが、国際社会からまったく相手にされず、条約発効後に、日韓の国交樹立交渉が開始された。
交渉は難航したが、佐藤栄作首相と、朴正煕(パク・チョンヒ)大統領の時代である1965年に大胆な妥協が図られ、日韓基本条約と日韓請求権・経済協力協定、在日韓国人の永住権に関する協定が結ばれた。
日本は交渉の出発点では、韓国に残してきた官民による巨額の財産の補償を求め、「在日韓国人も帰国すべきだ」と主張した。だが、最終的には「韓国を支援することが北東アジアの安定につながる」という判断で、法的にも異例で、莫大な経済協力まで含む韓国に大甘の内容になったというのが大事な視点だ。
そのとき、外務省や世論の反対を抑えて韓国に有利な決着を推進したのは安倍晋三首相の祖父である岸信介元首相と、その人脈の人々であった。