中国とロシア「共同飛行」沖縄周辺などで異様な示威行動 爆撃機など22機、異例の多さ 「日本は危機意識を」元陸上自衛隊・山下裕貴氏

沖縄本島周辺などで7日、中国とロシアの爆撃機や戦闘機など計22機が共同飛行し、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)して対応した。防衛省によると、共同飛行は2日連続で、一度に確認された機体の数としては異例の多さだという。中国軍機や艦船は最近、台湾海峡や南シナ海で米軍機や艦船に〝異常接近〟している。ロシアはウクライナの反転攻勢を受けている。中露とも、日米など自由主義国と対峙(たいじ)しており、連携を強めている。日本政府は外交ルートを通じて、両国に「重大な懸念」を伝達したが、日本に対する〝異様な示威行動〟は今後も続きそうだ。岸田文雄政権は、安全保障上の危機を乗り越えられるのか。

防衛省によると、中国の爆撃機「H―6」2機と、ロシアの爆撃機「Tu―95」2機が7日午前、中国方面から飛来した。沖縄本島と宮古島との間を通過して太平洋に進出するなど、長距離にわたる共同飛行の間、中国軍やロシア軍とみられる戦闘機など計18機と合流した。一度に確認された機体数としては、異例の多さだという。航空自衛隊は戦闘機を緊急発進させて対応した、領空侵犯はなかった。
中露爆撃機の共同飛行は前日も確認された。
防衛省によると、中国の爆撃機「H―6」2機は6日午前、日本海上空でロシアの爆撃機「Tu―95」2機と合流した後、東シナ海まで共同飛行を行った。途中、東シナ海上空で、中国戦闘機とみられる2機と合流した。空自は戦闘機を緊急発進させた。
中国国防省は7日、ロシア軍と合同パトロールを実施したと発表したが、松野博一官房長官は同日の記者会見で、「わが国に対する示威行為を明確に意図したものだ」といい、深刻な懸念を伝えたと語った。
今回の共同飛行をどう見るか。
軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「中国は台湾に対する圧力を強め、米国と対峙している。ロシアは、ウクライナの反転攻勢を強く懸念し、米国など自由主義諸国の動向を警戒している。中露の利害は一致し、世界で孤立しないよう関係をさらに深めている。共同飛行にも〝意図〟を込めているはずだ」と分析する。どういうことか。
今回、中露の爆撃機4機は沖縄本島と宮古島との間を通過して太平洋に出て、再び東シナ海へ戻った。
世良氏は「爆撃機などが飛行したルートは『台湾有事』を想定したものだ。過去にも同様の飛行経路をたどったケースがあるが、改めて〝意思〟を示したのだろう。ロシアも、米国などを念頭にした示威行動を狙ったとみられる。ウクライナをめぐる牽制(けんせい)なら、NATO(北大西洋条約機構)にプレッシャーをかけるべきだが、直接的すぎる。日本は口頭での『抗議』にとどまるため、示威行動の対象として格好の相手だ」と指摘する。