改正入管法に恐怖感じる埼玉のクルド人「差別や暴力があり帰れない」…長女は日本語しか話せず

外国人の収容や送還のルールを見直す改正出入国管理・難民認定法が成立した。埼玉県内では、トルコなどから迫害を逃れた約2000人のクルド人が川口市や蕨市に居住しているとされ、多くが難民認定の申請を繰り返している。入管施設での長期収容が回避される期待がある一方、申請が3回目以降の外国人は強制送還の対象になり得るため、クルド人らは改正法成立に不安の声を上げる。
川口市に住むクルド人女性(43)は9日午後、ニュースで改正法の成立を伝えるテレビを前に「強制送還の恐怖を感じる日々を過ごすことになった」と話した。
2006年、夫と長男と3人でトルコから来日。在留資格はなく、難民認定は4回目の申請中だ。夫は入管施設に2度収容され、現在は仮放免中。親族からの支援はあるが、生活は苦しい。
女性は「自分たちに『帰ればいい』と言う日本人が多いことはわかっている。でも、トルコでは民族差別や暴力がある。帰れないんです」と訴える。日本で生まれた長女は中学生になり、日本語しか話せないという。
改正法では、入管施設外での生活を認める監理措置制度も導入され、支援団体などが外国人の監督役「監理人」を担うことが想定される。クルド人らの難民認定申請を法的に支援してきた渡辺享子弁護士は、「監理人は『監視する』立場になる。外国人をどう支えるべきか、支援する日本人も戸惑うことになる」と指摘している。