死亡のバス運転手は札幌―函館間を10年以上運転、重大事故歴ない「優良乗務員」

週末の白昼に札幌と函館を結ぶ長距離バスに悲劇が起きた。北海道八雲町で18日に発生したトラックとの衝突事故で、乗客と運転手の5人が死亡した。バス運転手の興膳孝幸さん(64)は「優良乗務員」で、運行会社や知人から悼む声が聞かれた。
「乗務員を亡くしたさみしさが強い」。バスを運行していた北都交通の矢萩靖巳・バス事業部長は、記者会見で沈痛な面持ちで語った。
10年以上、札幌―函館間のこのコースを運転し、重大事故を起こしたことのない興膳さんは、後輩の面倒見がよかったという。
興膳さんを知る80歳代の女性は「家族ぐるみで雪かきを手伝ってくれたりして、とても優しい人だった。生まれたばかりの孫のことをうれしそうに話していたのに」と信じられないような表情で話した。
70歳代男性は「事故に遭ったのがまさか興膳さんだとは思ってもいなかった。いつも会えば気さくにあいさつしてくれた」と言葉少なだった。
この事故で、国道5号は八雲町内の約10キロの区間で午後8時頃まで通行止めになった。

北海道内、バス事故何度も

道内ではバスの事故が何度も発生している。
網走市能取の国道238号で昨年9月、乗用車と対向車線の路線バスが衝突。乗用車を運転していた男性が死亡し、バスの運転手もけがをした。美幌町報徳の国道334号では今年3月、軽ワゴン車と観光バスが正面衝突。軽ワゴン車の運転手が死亡したほか、バスの運転手とガイドが軽傷を負った。昨年12月には、大型観光バスが鷹栖町の高速道路の分岐帯に衝突した。