岐阜市の陸上自衛隊射撃場の小銃発射事件で、殺人容疑で送検された自衛官候補生の男(18)は、小学生の頃から「自衛隊に入る」と口にしていた。高校3年に進級した直後から自衛隊に入るための試験勉強を本格的に開始。高校を卒業した今春、夢のスタートラインに立ったばかりだった。
男は東海地方の出身で、高校時代の同級生らによると、男は6人きょうだいの3番目。幼児期から小学生にかけて児童養護施設に入居しており、中学年で岐阜県内の小学校に転入した。
息子が同級生という実家近くの男性は「(男は)小学校の頃から『自衛官になりたい』と言っていた。理由までは聞かなかったが、小学生なのに夢があるのかと思った」と証言。また、「正義感が強く、息子が他の子にからかわれたとき、息子と肩を組み『俺の友達にそんなこと言わんといてくれ』とかばってくれたこともあった」と振り返る。
卒業文集には、修学旅行で京都を訪れた思い出をつづっていた。歩くと音が鳴るため「うぐいす張り」と呼ばれる二条城の廊下について《今でも鳴くのにびっくり》《また、家族で二条城へ行きたい》と記していた。「ドラえもんの道具が使えたら」という質問コーナーには《1回使えたら100回使えるようにする》と回答していた。
小学校から高校まで同じ学校だった友人によると、男は中学では不登校がちで「暗いイメージ」だったが、高校に進むと一転。放送部に入り、3年になると部長を務めた。友人は「高校で雰囲気がガラっと変わった」とし、「明るく陽気なムードメーカー」だったと話す。
また、高3になった昨春以降、自衛隊を目指して試験勉強に取り組み始めた。夏には一緒に岐阜県内の駐屯地の見学会に参加した。男は装備を着用する隊員に「どうやって装着するのか」と熱心に尋ねていたという。友人は「自衛地の装備に興味津々だった。寮での生活にも強い関心を持っていた」と語った。