いろいろ「文春」の記事が話題ですが、個人的に最新号で最も読まれるべきと思ったのがこちらの記事です。
『岸田最側近 木原副長官 シンママ愛人に与えた特権生活 ディズニーデート撮』(週刊文春6月22日号)
《内閣官房副長官として岸田政権を支える木原誠二衆院議員(53)が親密な女性A子さんの自宅をしばしば訪れて宿泊し、翌朝、A子さんの運転する車で首相官邸に出勤するなど不倫関係にあることが「週刊文春」の取材でわかった。》(文春オンライン6月14日)
他人の下半身事情は「お盛んですな」とニヤニヤしておく程度でよいと思うのですが、それを置いても驚くのは木原氏なのだ。というのも約1年半前にも「週刊新潮」で同じ愛人ネタを報じられていたからだ。首相最側近というウルトラ公人なのに相変わらず週刊誌に見つかり放題なのである。平気で撮られまくり。これって危機管理としてどうなんだろう。岸田政権の危なっかしさがこういうところから垣間見える。
「そこじゃない」岸田首相の苦言
ちなみに1年半前の「週刊新潮」は(隠し子と思しき)子どもの七五三詣でに木原氏も付き添っていた写真を報じていた。文春によれば岸田首相はこのことに呆れていたという。
「『明治神宮とかにしておけば、一般の人は入れなかったのに』と苦言を呈していた」(政治部記者)
そこじゃない! そこじゃないぞー。どの角度での苦言なんだ。
長男の翔太郎氏の官邸忘年会のバカ騒ぎ問題でもそうだったが、岸田首相には脱力するほどの無警戒さを感じる。世襲で政治を継いでいるとのん気になってしまうのか? 菅義偉氏のような叩き上げに感じる必死さが無い。手に入れた権力は何があっても離さないという菅氏のような用心深さと切なさが無い。
いや、岸田首相は無警戒というのはやさしく言い過ぎた。無警戒ではなく適当と言ったほうがよいかも。適当さは政策までつながる。
あらゆる政策を「先送り」
象徴的な日が先週の6月13日だった。朝刊を見てみると、
『防衛増税「25年以降に」骨太の方針 先送り示唆へ』(読売新聞6月13日)
と「先送り」がキーワードになっていた。さらに来年の総裁選までに衆院選で勝利して再選を確実にするために「できる限り新たな負担論議は先送りしたい考えだ」とも(読売新聞・同)。
「先送り」は防衛増税だけでなく他の政策でもそうだ。GX(脱炭素化)投資、少子化対策も同じ。
しかしである。首相本人はその夜の会見で「岸田政権は先送りされてきた困難な課題の一つに答えを出していくことが使命だと覚悟して政権運営をしてきた」と語っていたのである。えっ! まるで反対のことを言っている。もしかして岸田首相って2人いるのだろうか。
あらためて適当さを考えてしまう記事があった。
『3.5兆円 でも「実質負担ゼロ」 少子化対策 財源は先送り』(朝日新聞6月14日)
《「異次元の少子化対策」の具体策を盛り込んだこども未来戦略方針は、児童手当の拡充や給付型奨学金の対象拡大などの政策がずらりと並ぶ一方で、財源については具体的な議論を先送りした。》
長男・翔太郎氏の失態をカバー?
この記事の途中に見逃せない部分がある。「首相主導」だったという予算積み増しについて。これは次期衆院選も見据えて政権への逆風を和らげる意図も透けるという。なぜなら、
《「公邸忘年会」をめぐり、首相の長男で政務秘書官だった翔太郎氏を更迭。主要7カ国首脳会議を終えて高揚感に浸る政権に水を差す事態となっていた。》(同前)
つまりバラマキとさえ言われる今回の決定は長男・翔太郎氏問題の失態をカバーする意味が大きい? これでは翔太郎氏のための児童手当ではないか。異次元の長男対策である。そして財源については具体的な議論を先送り。やはり適当すぎる。適当ではなく慎重に考えたと言うならただの姑息である。
衆院解散を匂わせたかと思いきや
岸田首相はこの夜の会見で今国会で衆院解散・総選挙に踏み切る考えがあるか問われると、「いつが適切なのか諸般の情勢を総合して判断する」と語った。そのあとニヤリとしたような表情を見せたから、さぁ解散かとオヤジジャーナルは大騒ぎ。
さっそく、
『岸田首相 解散匂わせ発言の真意』(夕刊フジ6月15日付)
と「匂わせ」ぶりを指摘される。しかし騒ぎが大きくなり過ぎたとみるや首相は翌日に「今国会での解散は考えておりません」と否定。
となるとこう書かれる。
『突然「見送り」を表明 火をつけて面白がった愉快犯 解散マッチポンプの間抜け』(日刊ゲンダイ6月17日付)
ゆ、愉快犯!
今回の解散騒動だけでも適当すぎる感じが伝わってきてしまった。こうなるとやはり「脱力するほどの無警戒さ」も感じる。その適当さと無警戒さのせいで、選挙があると走り回った身内の議員にも呆れられていないだろうか。心配である。
それにしても誰か岸田首相の周りで忠告できる人はいないのだろうか。ブレーンはいないのか。最側近と言われる木原内閣官房副長官は何をしているのだろう。あ……。いろいろ忙しすぎてそれどころじゃないかも。
(プチ鹿島)