河野太郎デジタル相は「ヒューマンエラー」を強調するけれど…マイナカード問題「本当の失策」とは?

今年もあっという間に上半期が終わります。上半期に印象深かった言葉を振り返ると「あの問題」は今年の流行語としても有力かもしれない。たとえばこちら。
「マイナトラブル」
ポイントではなくトラブルがひもづけされてしまった。マイナンバーカードをめぐるさまざまなトラブルは現在も報道中。
『マイナカード巡るトラブル、岸田首相「コロナ並み臨戦態勢」で対応へ』(読売新聞オンライン6月21日) 『マイナ、混乱収束せず』(毎日新聞6月21日)
もうひとつの流行語候補
臨戦態勢とか混乱収束せずとか、とても物騒なマイナンバーカード。今回の問題では次の言葉も流行語候補では?
「ヒューマンエラー」
マイナトラブルの釈明として出てきた言葉である。使用例をみよう。
『河野太郎氏、マイナカードめぐるトラブルで謝罪「ヒューマンエラー反省しなければ」情報番組出演』(日刊スポーツ6月1日)
河野太郎デジタル相はテレビ番組で今回の問題について「デジタル庁がきちんとしていれば防げたヒューマンエラーだったことを反省しなければいけない」など「ヒューマンエラー」を強調。岸田文雄首相も6月6日のデジタル社会推進会議で「ヒューマンエラーを防ぐデジタル化を徹底するなど対策を強化してください」と河野氏に指示した。
本当のヒューマンエラーは…
しかし、本当のヒューマンエラーとは河野氏をデジタル相にしたことではないか?
『国民の不信はマイナカードよりも河野太郎』(日刊ゲンダイ6月24日付) 『河野失態 マイナ大混乱』(夕刊フジ6月22日付)
今回の騒ぎの発端は、昨年10月13日に行われた河野デジタル相による記者会見だった。そこで河野大臣は突如、「保険証、24年秋廃止」と言い放ったのである。現場は混乱するに決まっている。それをヒューマンエラーと言ってみせるのは見事なほどの他人事、無責任ではないか。
岸田首相は河野氏の「突破力」に期待していたという。その「突破力」については、
《強引さ、拙速、杜撰さと他人事、これが「突破力」の正体ではないか。河野太郎のすべてが「ひもづけ」されていたのがマイナンバーカード問題なのである》( 当コラム6月13日 )
と今でも思う。
「他人には厳しく自分には甘い」
日刊ゲンダイの公式ツイッターアカウントは、
《なぜ任意のカードを健康保険証にひも付け、保険証の廃止をいきなり上から宣言したのか。傍若無人を絵に描いたようなやり口、その後の説明のいい加減、子供じみた答弁拒否、薄気味悪いナルシスト的発言、自分が大好きなエゴサーチの異様 》(6月23日)
とつぶやいてバズっていた。ツイートに添付された記事には、
《直接絡んでいない人までエゴサーチ(自分の名前で投稿を検索)してブロックしまくってるのだから異様。どんだけ自分が大好きなのか。他人には厳しく自分には甘い。絶対に自分の非を認めない。》
河野太郎のツイッターでのエゴサブロックを解説。いやー、「突破力」すごいなぁ。
夕刊フジにはこんな見出しも。
『大混乱マイナ “底なし状態”政権不信に直結』(6月22日付)
底なしってすごい。
新聞社説を読み比べたが…
さて、私が新聞読み比べが好きなのは、同じテーマなのに新聞によって論調の違いがあるからだ。それぞれを読み比べたうえで自分の考えをまとめるときに役立てるのが面白いのだが、マイナ問題ではどの社説もほぼ同じというのがポイント。まさにマイナポイントです。
『保険証の廃止 見直しは今からでも遅くない』(読売新聞6月7日) 『マイナ混乱で総点検 保険証廃止時期の再考を』(毎日新聞6月23日) 『マイナカード 白紙に戻して再考せよ』(東京新聞6月21日) 『マイナカード混乱 「普及優先」を見直す時だ』(産経新聞6月10日) 『マイナ保険証 「一本化」強行許されぬ』(朝日新聞6月9日)
読売、毎日、東京は保険証廃止を「見直し」「白紙」「再考せよ」とはっきりと言っている。
《岸田文雄首相はトラブルを謝罪する一方で、マイナンバー制度を「やり抜く」としている。こうした強硬姿勢は、国民生活の安定に不可欠な既存の制度や民主主義のルールを損ないかねない。》(東京新聞)
《現在、何ら不都合なく使えている保険証を廃止し、事実上、カードの取得を強制するかのような手法が、政府の目指す「人に優しいデジタル化」なのか。》(読売新聞)
世論調査の結果の衝撃
そうそう、「人に優しいデジタル化」と言えば、私は初代デジタル相の平井卓也氏の演説を現地(香川1区)で聞いたことがある。2年前の衆院選のときだ。
平井氏は「人に優しいデジタル」「格差を生まないデジタル」「困っている人を助けるデジタル」など、多いときは3秒に1回ぐらいの割合で演説にデジタルという言葉を入れていた。いろんなデジタルがあるんだなと思ったが、今の状況は「人に優しくないデジタル」である。
そして週明けの月曜日、読売新聞の世論調査の結果が発表された。
『内閣支持急落41% マイナ対応「不適切」67%…本社世論調査』(6月26日)
岸田内閣の支持率は41%と、前回(5月20~21日調査)の56%から15ポイントも下落。なかなかの衝撃である。その大きな理由はこれだ。
《マイナカードのトラブルについて、政府は適切に対応していると「思う」とした人は24%にとどまり、「思わない」が67%と多数を占めた。現在の健康保険証を24年秋に廃止し、マイナカードに一本化することに「反対」は55%で、「賛成」の37%を上回った。》
やはりキーワードは「マイナトラブル」である。このまま保険証廃止を押し切るのだろうか。どうする岸田首相。
(プチ鹿島)