京王線刺傷事件、ジョーカー被告の公判「焼け死ぬのかと思った」被害者男性語る

21年10月31日のハロウィーン当日、映画「バットマン」シリーズの悪役ジョーカーに扮(ふん)して、東京都調布市内を走行中の京王線の車内で、乗客1人を刺し、車両に火を付けて12人を殺害しようとしたとして、殺人未遂や現住建造物等放火などの罪に問われた無職服部恭太被告(26)の裁判員裁判公判が28日、東京地裁立川支部で開かれた。事件当時、ライター用オイルを頭にかけられた被害者の60代男性が出廷した。
検察側の尋問で男性は、事件当時を振り返り「(服部被告が)2~3メートル先に止まり、ペットボトルを振って、周りの人に中の液体を掛けようとしていた。(電車の連結部分に)たまっている人にもかかったし(自分は)額にかかった」と状況を語った。男性はやけどなどのけがはなかったというが「たまたま状況が重なって着火しなかっただけで、京都アニメーションの時と同じことが起きるのかと。焼け死ぬのかと思った」と心境を明かした。男性は続けて「社会的なテロだと思う」と強調した。
服部被告は公判で、黒のスーツに紺色のネクタイを締めて出廷。金髪だった頭は丸刈りにしていた。終始うつむいた表情で、被害者の尋問を聞いていた。服部被告は26日の初公判で、乗客1人を刺したてけがを負わせたことは認めた一方、放火が殺人未遂の罪に当たるかについては「分かりません」と一部否認していた。