「そう遠くなく何らかの結論は導き出していきたい」
安倍元首相の死去後に空席になっている安倍派の会長ポストについて、27日、同派幹部のひとり、世耕参院幹事長がこう発言した。今夏にも予想される内閣改造・自民党役員人事について触れ、「交渉の窓口、顔が決まっていた方がいいのではないかという声が若手中心に出てきている」とも指摘。早期に会長を選出すべきとの姿勢を示した形だ。
安倍元首相の一周忌は7月8日。どうやらこの日を境に、会長レースの号砲が鳴りそうだ。
世耕氏はヤル気満々だとみられている。
「週末に三島で行われた清風会(参院安倍派)の宿泊研修会には、所属する40人のうちの8割が参加した。ただ今回は、世耕さんを推す“血判状”を作るまでの話にはならなかったようです」(安倍派関係者)
“長老”の森元首相が一時期、衆院から萩生田政調会長、参院から世耕氏という「萩生田・世耕派」の共同代表制を主張していた。だが、萩生田氏ら衆院側の幹部は「共同代表制はノー」らしい。
1人に絞り込めるのか
一方で、世耕氏、萩生田氏に加え、西村経産相、松野官房長官、高木国対委員長の「5人組」は、26日夜、密かに会合。その場で「夏(の人事)までに会長を決める」ことで一致したという。もっとも、「どうやって1人に絞り込むか」を決めたわけではなく、曖昧なままだ。
会長代理の塩谷元文科相も動いている。衆院1~5期の若手・中堅から意見聴取する会合を開くという。一度に全員ではなく、少人数で4回に分けて実施する予定で、最終日は安倍元首相一周忌直前の7月6日だ。
「やはり若手・中堅からは、内閣改造・党役員人事までに会長を決めて欲しいという声が多い。会長不在では、政務官や副大臣、党の役職などで、希望するポストが安倍派に回ってこないのではないかと危惧しているのです。とはいえ、本当に1人に決められるのか。5人組は、世耕、萩生田、西村の3人だけでなく、松野、高木も会長をやりたがっている。『夏までに決める』と言いながら、またズルズルしてしまう可能性もある」(前出の安倍派関係者)
衆目の一致する後継者がいない派閥の悲哀……。「次」を育てなかった安倍元首相の責任だ。