帝王切開後に子宮を全摘出、和解成立…診療所元院長が解決金1500万円

愛媛県今治市の産婦人科診療所(2017年に閉院)で、帝王切開後に子宮を全摘出された同市内の30歳代女性が元院長に約4300万円の損害賠償を求めた訴訟があり、名古屋高裁で和解が成立した。元院長側が解決金として1500万円を支払う。5月11日付。
訴状などによると、女性が第1子を産んだのは2016年秋。元院長が担当し、帝王切開で出産後、出血が続き、子宮を全摘出する措置が取られたと主張。女性側は注意義務違反があったとして19年7月に提訴し、22年9月の1審・名古屋地裁豊橋支部で請求が棄却され、控訴していた。
女性の父親は読売新聞の取材に「(元院長から)これまで謝罪の言葉はない。納得はできないが、訴訟を早く終わらせて、区切りにしたかった」と話した。
元院長側は「コメントは差し控える」としている。
この診療所では16年以前にも、帝王切開後に妊産婦が死亡したり重症に陥ったりする事例が複数起きた。愛媛県医師会が16年10月に元院長から事情を聞き、その後、指導した。診療所は17年2月に閉院した。