搬送先見つからず124分待機した例も 沖縄 7月3~9日、救急搬送2362件 背景にコロナや熱中症増

3~9日の直近1週間で救急搬送された2362件のうち、搬送先が見つからず現場で最大124分待機したケースがあったことが沖縄県への取材で分かった。新型コロナウイルス感染拡大などで県内の救急医療が逼迫(ひっぱく)していることだけでなく、暑さで熱中症の救急搬送が増えていることなどが背景にあるとみられる。(社会部・下里潤、玉那覇長輝)
県防災危機管理課によると、同1週間で救急搬送された人数は1842人。うちコロナ関連は133人、それ以外は1709人だった。受け入れ先が見つからず、現場で30分以上待機したケースは96件(コロナ19件、それ以外77件)。医療機関に4回以上受け入れを照会したのは83件(コロナ17件、それ以外66件)だった。いずれも前週から増加している。
県内最大の流行となった昨年夏には、現場で30分以上待機したケースが4週間連続で100件を超えた。うち半数前後がコロナ関連だった。100分以上待機した事例も頻発した。最大待機時間は164分だった。
入院者数も昨年夏に過去最高となった1166人に迫る規模で続いている。県の発表によると、12日時点の新型コロナ入院者数は935人だった。計算上は前日より62人減ったことになるが、速報値のため、確定値では人数が増える可能生がある。
県は医療逼迫を防ぐため、軽症の場合や検査目的での救急受診を控えるよう呼びかけている。
一方、暑さで熱中症による搬送も増えている。総務省消防庁によると、県内では熱中症で3~9日の1週間に62人が救急搬送されたとの速報値を公表した。
那覇市消防局によると、昨年1年間は熱中症で146人が搬送され、うち1人が死亡した。今年は9日までに43人が搬送され、うち高齢者が21人で約半数を占めている。
同局救急課によると、コロナの5類移行後、屋外のイベントも開催されることから「集団熱中症」の発生を懸念しており、「のどが渇く前に水分を取り、気分が悪いときは涼しい場所で休んでほしい」と注意を呼びかけている。