寺田前総務相の地元市議ら任意聴取 公選法違反疑惑で東京地検特捜部

令和3年10月の衆院選で当選した寺田稔前総務相(65)=衆院広島5区=が運動員に報酬を支払ったなどとして公職選挙法違反の罪で刑事告発された問題で、東京地検特捜部が寺田氏から支払いを受けたとされる複数の地元市議らを任意で事情聴取したことが14日、関係者への取材で分かった。特捜部は現金の趣旨や違法性の有無について慎重に調べを進めているもようだ。
告発状によると、寺田氏や陣営の出納責任者、事務担当者の3人は、衆院選公示日の3年10月19日に市議ら11人に対し「労務者報酬」名目で計6万8100円を支払い、公選法が禁じる選挙運動員の買収をしたなどとしている。
関係者によると、特捜部は寺田氏の地元の広島県内の複数の市議らを聴取。現金を受け取った趣旨などを確認したとみられる。
昨年11月に東京地検に告発した神戸学院大の上脇博之教授は、11人が選挙運動に従事しており、報酬は選挙運動員への買収にあたると主張。寺田氏の関与については、出納責任者が寺田氏に「重要な支出については相談していたと考えるのが自然」としている。
上脇氏は寺田氏の2つの政治団体が妻に事務所賃料を支払っていたことや、故人を会計責任者とする政治資金収支報告を提出したとされる問題でも寺田氏らを刑事告発している。
寺田氏は当選6回。昨年8月に総務相に就任したが、一連の問題を受けて同11月に更迭された。