京王線刺傷「身勝手で短絡的」 懲役25年求刑 弁護側「やり直す機会を」

令和3年に東京都調布市を走行中の京王線車内で発生した無差別刺傷事件で、乗客を刃物で刺して車内に火をつけたとして、殺人未遂や現住建造物等放火などの罪に問われた服部恭太被告(26)の裁判員裁判の論告求刑公判が21日、東京地裁立川支部(竹下雄裁判長)で開かれた。検察側は「人命を軽視した身勝手で短絡的な犯行」として懲役25年を求刑し、弁護側は「懲役12年程度が相当」と述べ、結審した。判決は31日に言い渡される。
被告は先月26日の初公判で、乗客1人について「ナイフによって傷つけたことは認めます」と、殺人未遂の起訴内容を認めた。弁護側は火をつけたことも認める一方、放火による別の12人への殺人未遂については「殺意がなかった」として争う姿勢を示している。
論告で検察側は、複数の乗客が死亡する危険性があることを認識して放火行為に及んでおり「12人への殺意が認められる」と指摘。計画的な犯行で社会的影響も大きく、同種事案の中で「極めて重い部類に位置づけられる」とした。
また、事件で重傷を負った被害者の代理人が「無期懲役が相当」とする意見を述べた。
弁護側は最終弁論で、被害者を刺したのは1回だけで、焼損範囲も限定的とし「社会でやり直す機会を与えてほしい」と述べた。
起訴状によると、3年10月31日夜、京王線車内で乗客の胸をナイフで刺したほか、ライターオイルをまいて火のついたライターを投げ、別の乗客12人を殺害しようとしたとされる。