ストーカー「禁止命令」の加害者へ対応強化 10都道府県警で試行へ

ストーカー規制法に基づく禁止命令を受けた加害者全員に対し、命令後も警察が定期的に連絡を取ったり、精神的な治療に効果があることを伝えたりする対応を10都道府県警が8月1日から試行する。警察庁への取材で判明した。これまでは命令後の加害者への連絡や治療の働きかけは事案ごとに判断していたが、試行では一律に実施して対応を強化する。試行期間は3カ月間とし、問題点がなければ、他府県警での導入も検討する。
警察庁によると、つきまといなどのストーカー行為に対し、2022年に全国の都道府県公安委員会が出した「禁止命令」は過去最多の1744件(前年比4・4%増)に上った。命令が出ると大半のストーカー行為は止まるというが、一部で命令後に事件を起こすケースもあった。23年1月に福岡市博多区の路上で女性を刺殺したとして逮捕、起訴された男性被告も、禁止命令の約1カ月半後に事件を起こしたとされる。
定期的に連絡、治療も呼びかけ
ストーカー加害者への対応強化策を試行するのは、北海道、岩手、神奈川、東京、愛知、大阪、山口、愛媛、福岡、沖縄の10都道府県警。禁止命令を受けた加害者全員に対し、命令後も警察から連絡があることを通告し、定期的に電話をしたり訪問したりする。禁止命令は発した直後の抑止効果は高いが、時間の経過につれて被害者への恨みを再び募らせるケースもあり、命令後の対応を強化する必要があると判断した。
また、ストーカー行為は精神的な治療で改善する可能性が指摘されており、警察当局は16年から、担当者が必要と判断した加害者に医療機関での治療を働きかける取り組みを始めた。試行では、禁止命令を受けた加害者全員にカウンセリングや治療を受けるように呼び掛ける。都道府県警の判断で、医療機関や支援団体の連絡先一覧も添付するという。強制力はなく、受診するかは加害者の判断による。
加害者の治療を巡っては、22年に過去最多の1149人に働きかけたが、実際の受診は153人にとどまった。費用が自己負担のため敬遠されたり、「必要ない」などと断ったりするケースが多いという。
警察庁幹部は「加害者をしっかりフォローしてリスク評価をしていくことが、被害の防止につながるのではないか」としている。
被害者に対しても、ストーカー事案が急に重大事件に発展する危険性があることや、ボタンを押せば110番につながる緊急通報装置を外出の際に携帯することなどを伝える対応を徹底するという。【松本惇】