本人が目の前に…副学長に「臨時理事会」で解任提案 日大“薬物問題” 先月に林理事長とかわされた会話の詳細も明らかに

24日、臨時の理事会が開かれた日本大学。その場で林真理子理事長らが、澤田康広副学長の解任を、本人を前にして提案したことがわかりました。アメフト部の薬物事件の対応をめぐって対立する形となっていますが、その背景は…。

――助成金の不交付が決定されたが一言
日本大学 林真理子理事長
「…」
林真理子理事長は、記者の問いかけに応じることなく日本大学へと向かいました。24日に行われたのは、臨時の理事会です。対応を話し合ったとみられるのが、2人の逮捕者を出したアメフト部の違法薬物事件をめぐる対応についてです。
ほかの部員についても捜査が進められる中、関係者によると、理事会では、理事の中から本人を前に澤田康広副学長の解任が提案され、林理事長が理事に検討するよう求めたことがわかりました。
澤田副学長は、薬物事件に関する対応を行っていました。
――去年しっかり対応していた場合に事件が起こっていない可能性があるが?
日本大学 澤田康広副学長(8月の会見時)
「それは分かりません」
――情報が自身の耳に入ってこないのは問題ない?
日本大学 林真理子理事長(8月の会見時)
「ですから、澤田副学長が対応しているので」

なぜ、理事らは澤田氏の解任を求めたのか?
先月4日に2人の間でかわされたとされる会話の詳細が、澤田氏の代理人弁護士への取材で明らかになりました。内容は“澤田氏の身の引き方”についてでした。
林真理子理事長(弁護士への取材による)
「補助金(私学助成金)不交付の可能性が非常に高いんですね。もし、澤田先生が役員でいらして、役員として事情聴取を(受ける)とか、そういうことがマスコミに出ますと『恐らく(私学助成金の)交付が頂けなくなるんじゃないか』というのがみんなの見立てです」
澤田康広副学長(弁護士への取材による)
「補助金をもらうために私、辞めろということでしょうか」
林真理子理事長(弁護士への取材による)
「補助金もありますし、やっぱり、ちょっと社会的にも許されないじゃないですか。私もですね、もう本当に社会的制裁を受けて、仕事も非常にキャンセルされていますし、講演会の延期とか言われたりしているんですね」
澤田康広副学長(弁護士への取材による)
「第三者委員会が『辞めろ』という結論を出す前に辞めたほうが良いということ?」
林真理子理事長(弁護士への取材による)
「はい、私たちが自浄作用しているということになるんだと思います」
澤田康広副学長(弁護士への取材による)
「辞任だと自浄作用にならないじゃないですか」
また、林理事長は「逮捕は1人の可能性が高い」などとしてきた澤田氏のこれまでの説明が「うまくなかった」とも述べたといいます。
林真理子理事長(弁護士への取材による)
「もう世間にごめんなさいってしっぽ振ってくっていう結論を出しているんですよ。先生が本当に誇り高く、一番間違ったことしてないっておっしゃっても、私たちも補助金も欲しいし、たたかれたくもないし」
さらに――
澤田康広副学長(弁護士への取材による)
「すぐに警察にブツ(発見した物)を引き渡すということはいたしませんで…」
日大が大麻とみられる植物片を見つけてから警視庁に届け出るまでのいわゆる“空白の12日間”については――
林真理子理事長(弁護士への取材による)
「12日間は長すぎたと、少なくとも次か、その次くらいには出すべきだったと」
澤田康広副学長(弁護士への取材による)
「そうしたほうが良かったと思いますよ、今となっては私も。だからといって、12日間(植物片を)持っていたことが違法だったとは思いませんけども」
林真理子理事長(弁護士への取材による)
「そうですか、どうしたらいいんだろうな。でも先生、私は大麻と覚醒剤を隠ぺいした大学(の理事長)ということになっているんですよ」
澤田康広副学長(弁護士への取材による)
「ですから、事実かどうかは関係ないんでしょうね」
林真理子理事長(弁護士への取材による)
「関係ないです、誰かが責任を取らないと」
澤田副学長は、対応の方針については林理事長にも報告したなどとし、「辞任する相当な理由がない」と反論したということです。
また、日大は日本テレビに対し、林理事長や執行部が澤田副学長に対して「自らの進退について自身で判断するよう促した」と説明。その上で日本テレビの取材に対し、「会話とされるものは、学内でかわされた様々な議論の一部にすぎない」としています。
24日の理事会では、こうした会話の内容が表に出たことが情報漏えいにあたるなどとして、解任を検討するよう求めたということです。
結果、日大は澤田氏の進退にかかわらず、年間約90億円もの国からの補助金が3年連続で「不交付」となりました。ただ「これを理由に学費の値上げは一切行わない」とコメントしています。
日本大学の学生
「大学自体の対応が後手後手になっているのが、もうちょっと早めになんとかしてほしかった」
日本大学の学生
「大学全体としての評価が下がるので迷惑だなと」
実際に澤田副学長を解任するには、常務理事会で協議を行ったあと、改めて理事会での決議が必要で、今後、検討が進められていくものとみられます。
(10月24日放送『news zero』より)