木村弥生区長(58)が初当選した4月の東京都江東区長選を巡り、柿沢未途(みと)衆院議員(52)側が地元の区議らに現金を渡していた疑いがあることが関係者への取材で判明した。区長選と同時に区議選も投開票されており、柿沢氏は周囲に「区議選の陣中見舞いで、区長選は関係ない」と説明しているという。東京地検特捜部は現金の趣旨の確認を進めている模様だ。
関係者によると、柿沢氏は2021年衆院選で5選を決めた後に、自民党から追加公認された経緯がある。現金に区長選で木村氏の票をとりまとめる趣旨があれば、公職選挙法違反(買収)に問われる可能性もあるが、柿沢氏は党の国会議員として区議選のために支出したと説明し、違法性を否定しているという。
23年4月の区長選では、木村氏が1月に出馬を表明。柿沢氏側が木村氏を、自民党都連が現職だった前区長の長男を支援する「保守分裂」の構図となった。党に所属する柿沢氏は表だった活動を控え、代わりに元衆院議員で柿沢氏の父・弘治氏(09年に死去)の秘書だった男性らが木村氏の陣営に加わり、選挙運動を差配していたとされる。
木村氏は、区長選の選挙期間中に公選法が禁じるインターネットの有料広告を掲載したとされ、特捜部の捜査を受けている。特捜部は、元秘書ら柿沢氏の事務所関係者からも任意で事情聴取。有料ネット広告が動画投稿サイト「ユーチューブ」に掲載された経緯だけでなく、柿沢氏側と木村氏側による選挙運動全体の実態解明を進めているとみられる。
また、有料ネット広告の動画は木村氏が出演し、「木村やよいに投票してください」などと呼び掛ける内容だったが、この動画が東京・永田町の国会議員会館会議室で撮影されていたことも新たに判明した。柿沢氏の事務所が会議室の予約をしたという。動画の掲載費用約14万円は木村氏のクレジットカードで支払われたとされる。
柿沢氏は木村氏に有料ネット広告の利用を提案したことを認め、9月に就任したばかりの副法相を10月31日に辞任した。木村氏も特捜部に対し、柿沢氏から勧められたことを認めているという。【井口慎太郎、岩本桜、山田豊、秋丸生帆】