横田めぐみさん(59)が13歳で北朝鮮に拉致されてから今月15日で46年となるのを前に、母の早紀江さん(87)が7日、報道陣の取材に応じた。「もう力が出なくなってきている」と自身の体調を明かした上で、「生きている間にできる限りのことはやる」と最愛の娘との再会実現へ改めて決意を口にした。
1人で暮らす川崎市内のマンション。めぐみさんに向け「元気にしていますか」とつぶやくのが、起き掛けの日課だ。令和2年に夫の滋さんが87歳で亡くなってからは、滋さんの遺影にも声をかける。
夫婦二人三脚で1400回に上る講演を全国で重ね、被害者救出を訴えてきた。だが、願いはいまだかなわず、双子の息子の拓也さん(55)、哲也さん(55)ら子世代が引き継ぐ。
「息子たちもまじめだから、よくやってくれている。でも、最近、『お母さんより先に逝かないでね』と伝えた。2人だって疲れきっている」。 早紀江さんは7日の取材に、子世代が救出運動の最前線に立っていることの異常さ、母親としての率直な思いを語った。そして、「拉致問題は日本の根幹に関わる問題だ。なぜ、これほどまで長い間、被害者を取り戻せないのか」と、政府へ厳しい視線を向けた。
今年2月に自宅で激しい動悸(どうき)に襲われ、意識を失いかけた。とっさに「神様、あと2年、生きさせてください」と願った。入院、手術を経て現在、症状は落ち着いているが、体力の衰えは隠せない。「人間、誰にでも終わりは来る。覚悟はできている」と言い切る。
46年の空白。めぐみさんは59歳になった。来年は還暦だ。被害者家族は無論、被害者本人にも時の流れは押し寄せている。早紀江さんは「絶対に生きている、北朝鮮で待っていると、信じている」。だからこそ「自分にできることは、怠けないで頑張りたい」。
87歳の覚悟だ。(中村翔樹)