1.7億円分のPontaポイント詐取疑い 会社役員ら6人逮捕

KDDIの電子決済サービス「auPAY」を使って架空の商品売買を繰り返し、特典として付与されるPontaポイント約1億7100万円分を不正取得したとして、警視庁犯罪収益対策課は9日、東京都墨田区の会社役員、南元貴被告(37)=消費税法違反などで起訴=ら男女6人を電子計算機使用詐欺容疑で逮捕したと発表した。南容疑者は、自身の関連する会社と他の5人との間で16万回を超える取引があったように装い、ポイントを不正取得したとみられる。
犯罪収益対策課によると、南容疑者らによる架空売買は2020年2月からの約2年半で、auPAYだけで総額約700億円に上る可能性がある。他の複数の電子決済サービスでポイントの不正取得を繰り返していた疑いもあるという。
auPAYは、店舗での買い物やネットショッピングなどに利用できる電子決済サービスで、現金やクレジットカードで残高を補充できる。Pontaポイントは利用額に応じて付与され、1ポイント1円の換算で利用できる。
南容疑者の逮捕容疑は20年3月~22年9月、自身が代表を務める会社と5人の間で、約16万7000回で総額約276億2700万円分の取引があったように装い、auPAYでの代金決済で得たPontaポイント約1億7100万円分をKDDIから詐取したとしている。6人はいずれも容疑を認めているという。
犯罪収益対策課によると、架空取引をする際、購入役は一時的に代金を負担する形になるが、南容疑者が自身の取り分を差し引いて現金で還元していたとされる。南容疑者に渡ったのは約5000万円に上るとみられる。
一方、購入役とされる5人は還元される現金のほか、Pontaポイントを得ていた。付与率は時期や取引額で異なり、取引額の0・5~5・5%だった。
auPAYは一定期間で決済できる金額に制限があるが、5人は計約4000個のアカウントを取得し、架空売買を繰り返していたとみられる。関係先からは、アカウント取得に使われたとみられるスマートフォンやSIMカード計約1000点が見つかった。
南容疑者はSNS(ネット交流サービス)を通じて購入役を募っていたとみられ、関わった人数は100人規模になるという。南容疑者は23年7月、不正に消費税の還付を受けようとしたとして東京地検特捜部に在宅起訴されている。【林田奈々、遠藤龍】