「気持ち悪い!」長野市で羽虫が大発生、口や服にまとわりつく…夏の猛暑と秋の暖かさで活発化

秋から冬にかけ発生し、歩けば顔などにまとわりつく小さな羽虫――。今年は長野市中心部などで多く見られ、不快感をもよおすため市には相談も寄せられている。専門家によると、虫はアブラムシの一種という。専門家は夏の猛暑や、秋の季節外れの暖かさで、行動が活発になったことを要因に挙げる。(塔野岡剛、山崎至河)
「なんだこれ、気持ち悪い!」。長野駅付近で7日、大量の小さな羽虫が空を舞い、虫を払いのけながらつぶやく歩行者の姿が見られた。自転車に乗る人も、信号を待つ間に服に付いた虫を手で払い落としていた。
善光寺観光に訪れた上田市の自営業男性(41)は「善光寺にも上田市の自宅の庭にもたくさんいた。こんな経験は初めて。口に入ったり服に付いたりするからすごく嫌ですね」と苦々しい表情を浮かべた。
長野市保健所には、こうした虫について「長野駅周辺などで大量に見かける」「不快だ。対処法はあるか」といった趣旨の電話相談も寄せられているという。
昆虫の生態に詳しい信州大理学部の竹中将起特任助教(進化生物学)によると、虫はアブラムシの仲間とみられる。北海道で大量に発生して問題となっている「雪虫」も、アブラムシの一種に含まれるという。これらの虫は一般的に樹木に産卵をするなど、木を中心に生息している。今の時期に飛び交うのは、冬を過ごす木を探しているためという。
長野地方気象台によると、今年は長野市などで8、9月の平均気温が観測史上最高を更新。今月に入っても同市内では6日に最高気温が24・5度と、統計開始から7番目の高さとなるなど記録的な暖かさが続いている。
同市内で例年以上に羽虫が目立つことについて、竹中氏は今夏からの気象が影響している可能性に触れ、「複合的な要因があるが、昆虫は一般的に暖かいと成長速度が速まり、活動的になるためではないか」とみる。
ただし、虫の発生は長くは続かず、しばらくすると落ち着き、人体にも害はないという。竹中氏は「気温が低くなることに加え、冬の産卵が終わると虫は死んでしまう。このような状況が続くということは考えにくい」と話している。