「なぜ自民はおとがめなし?」 旧統一教会問題で宗教法人が疑問視

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の解散命令請求に関するアンケートでは、自民党と教団の密接な関係が指摘されるなかで、宗教の側だけを「処分」することを疑問視する記述も見られた。【西本紗保美、野口麗子、中嶋真希】
「癒着明らかになっていない」
「旧統一教会とその政治団体である国際勝共連合と、自民党などの癒着による根本的な問題が明らかにされていない」。日本基督教団はこう指摘し、「一方の組織のみを解散させるのは目くらましに過ぎない」と非難した。
毎日新聞が実施したアンケートで回答のあった21法人のうち、請求を「評価する」としたのは10法人にとどまり、「評価しない」とした5法人のうち、日本基督教団など4法人が旧統一教会と自民党の関係に触れた。
自民党は2022年9月、所属国会議員180人に旧統一教会との接点があったとする調査結果を発表した。しかし、深い関係が指摘された安倍晋三元首相や当時衆院議長だった細田博之氏の調査は見送った。
生長の家は「旧統一教会と安倍晋三元首相の関係について、まともな調査がされていない」と問題視。「自民党は長年、旧統一教会と密接な関係にありながら、その責任は一切とらず、自分の都合が悪くなると教団を切り捨てた。政治と宗教の関係が難しくなるだろう」とした。
「宗教と政治」適切な距離が必要
生長の家は「当教団が1983年まで行っていた政治運動をやめたのは、本来の宗教活動が後回しになる傾向が続いたり、政治家がひとたび当選すると、党や自らの事情を優先し、教団が目指す政策実現をないがしろにする傾向があったりすることが分かったから」と記し、「宗教と政治は適切な距離を保つことが必要」とつづった。
幸福の科学は「一部マスコミの宗教に対する偏見や、政治利用したい政権側の思惑」が背景にあるなどとして、解散命令請求が国に恣意(しい)的に運用される恐れを強調。「(旧統一教会を)選挙活動に利用していた政治家の当選無効についても議論すべきだ」と訴えた。
大山ねずの命神示教会は、解散命令請求について「報道機関が伝える旧統一教会と政府(自民党)の相当多数の国会議員との密接な関係を前提とした場合、中立性や公正性があるのか疑問」とした。
一方、請求への評価を尋ねた質問に無回答だった創価学会は「特定の宗教団体が国から特権を受け、保護を求めるようなことはあってはならない」。立正佼成会は「請求を政局に持ち込むカードの一つとして利用しようとすることを危惧する」と危機感をにじませた。