先月、釧路市阿寒町の林道でクマに襲われ大けがをした男性が命からがら生還するまでの一部始終を明かしました。
高橋さん)
「爪が入ってきたらしいここから」。
(Q爪が貫通した?)
「貫通した。(傷口が)トンネル状態になっていた。まぶたの上まで爪が伸びてばすっときれて」。
釧路市の会社員高橋和寿さん。先月13日、釧路市阿寒町の林道を歩いていた際にクマに襲われ顔や肩をあわせて100針以上縫う大けがをしました。
高橋さん)
「骨折はボルトとプレートで押さえてる。眼球脱落はしないで済んで、まぶたとその辺りは爪でひっかかれて負傷したけれど右目は大丈夫です」。
当時、釣りの帰り道だった高橋さんは、クマよけの鈴やホイッスルなどを吹いて対策をとっていたといいます。しかし、日が暮れ始めるなか林道でシカと遭遇した時にある「異変」を感じました。
高橋さん)
「シカと遭うと反対方向に逃げていくんですけど、その時だけ大きいオスのシカが自分のまわりの林道をぐるぐる回っている。ちょっとおかしいなと思いながら下ったらヒグマの親子がいきなり目の前に」。
親子のクマと対峙していると好奇心からかコグマが近づいてきたといいます。すると、その後ろからすさまじい勢いで親グマが襲いかかってきました。
高橋さん)
「すごいびっくりする声がして。よだれをだらだら流しながら、こっちのほうにアタックしてきました。1.5mぐらいあったと思う。記憶にあるのが(クマが)怒っていて、目の周りの毛が放射状に広がって頭とか耳がとがるぐらい毛が立っていた。クマスプレーで顔とかに向かって吹きかけたかけた瞬間、クマが起き上がって回避して右に回って「がーっ」と来ました。最初がーんって来た瞬間顔やられたと思う。
ちょっと脳震盪気味になって気づいたときは、ここにがっぷり食いついていて」。
噛みつかれながらもクマの顔にスプレーを噴射し続けたという高橋さん。クマが離れた一瞬のすきをついて2mほど崖下の川岸を走って逃げました。
高橋さん)
「(その後)40分くらい小走りでいった。出血がひどかったので。アドレナリンが出てて痛みはあまり感じなかったですけど、血の量はひどかったので、早く帰らないとまずいかなと思って」。
周辺は携帯電話の電波が届かない場所で、高橋さんは何とか停めた車まで辿り着き、近くの建物に避難しました。
車には生々しい血痕が残されていました。
高橋さん)
「昼間の明るいうちに行動すればこんなことにはならなかったと思う。(これからは)明るい時間に多い人数でクマの出没のないところで、(釣りを)楽しもうと思います」。