岸田文雄首相が、いよいよ追い詰められてきた。
自民党派閥のパーティー券をめぐる「裏金」事件は、もはや特定派閥の問題ではなく、「自民党全体の問題」としてみられている。それを端的に示すのが、報道各社の世論調査で、軒並み下落する内閣支持率だ。
18日に公表された毎日新聞の世論調査で、岸田内閣の支持率は前回1月の調査から7ポイント減少して14%、不支持率は同10ポイント増の82%に達した。
野党の追い上げも強烈だ。自民党の政党支持率が前回比7ポイント減の16%となるなか、立憲民主党は同率の16%、日本維新の会も13%に迫ってきた。
前回調査が行われたのは、わずか3週間前だ。これほど短期間で、岸田内閣と自民党の支持が転落した主な原因は「政治とカネ」の問題への対応だろう。
例えば、15日に公表されたパー券事件をめぐる自民党議員への「聞き取り調査」にはあきれた。計20ページもの調査結果には、「誰が」「いつ」「何がきっかけ」で裏金システムをつくったのかという〝根本原因〟の究明が欠落していた。
これは民間の〝常識〟とかけ離れている。もし企業が不祥事を起こせば「原因」「経緯」「再発防止策」を明示するのが当然だ。幹部らは、責任をとって辞職するだろう。
では、自民党ではどうか。世論調査でも、国民が「ケジメのつけ方」にまったく納得していないのは明らかだ。
安倍派(清和政策研究会)のある議員は、積もりに積もった不満をぶちまけた。
「(党や派閥の)幹部が逃げているから、有権者の批判はわれわれに直接向けられている。(派閥有力者の)『5人衆』ら幹部の誰かが、責任をとって議員辞職すべきだ。それがリーダーの役割ではないのか」
4月28日には、島根1区と東京15区、長崎3区の衆院補選が投開票される。自民党は各選挙区に候補を擁立する予定だが、東京15区と長崎3区の候補者選定は難航している。東京15区では、都連が選定を断念し、「一般公募」することを決定した。
望みの綱である公明党の支援も、怪しくなりつつある。
17日に公表された時事通信の世論調査によると、公明党支持者の内閣支持率は昨年10月の58・3%から、25・6%と半分以下に落ち込んだ。四半世紀近く続いた自公連立で初の出来事だ。
いま、自民党にとっての〝常識〟が、国民の〝非常識〟であることが浮き彫りになっている。政策の方向性や、政治改革がことごとく怒りを買っている現実がその証左だ。
その〝非常識〟はいつ、どこで、誰によってつくられたのか。主権者の国民は、それを知る権利がある。長らく永田町を巣くってきた「政治とカネ」の問題に終止符を打つため、ぜひとも、「非常識の核心」を明らかにしてほしい。 (政治ジャーナリスト・安積明子)