東京15区補選で「選挙妨害」と批判続出…警視庁が根本良輔氏陣営に「公選法抵触の可能性」と警告

28日に投開票された衆院3補選は、自民党派閥の政治資金規正法違反事件など「政治とカネ」の問題が逆風となり、自民は、唯一候補を擁立した島根1区で敗れ、ほかの2選挙区の「不戦敗」と合わせ、全敗の結果に終わった。
衆院東京15区(江東区)補選では、ある諸派新人の陣営が、他の候補者の街頭演説中に大声を張り上げるなどし、「選挙妨害だ」との批判が続出した。この陣営は「候補者に認められた合法な行為だ」と主張するが、警視庁は公職選挙法に抵触する可能性があるとして警告を発出。国会で対策が議論される事態になっている。
問題となったのは、政治団体「つばさの党」の根本良輔氏(29)の陣営。告示日の16日には、JR亀戸駅前で行われた無所属の乙武洋匡氏(48)の第一声に現れた。選挙カーのクラクションを鳴らし、乙武氏らの演説にかぶせるように「どの面下げて立候補しているんだ」などと声を張り上げた。19日には、豊洲駅付近で諸派の飯山陽氏(48)に向かって「クズ」などと叫び、選挙カーを追いかけ回した。
各陣営は根本氏の陣営との接触を避けるため、演説日程の事前告知をやめたり、回数を減らしたりせざるを得なくなった。江東区の会社員女性(26)は、「各候補の政策を聞きたい有権者にとってマイナスでしかない」と非難した。
公選法は、候補者らに暴行したり演説を妨害したりする行為を「選挙の自由妨害罪」と規定。違反すると、4年以下の懲役か禁錮、または100万円以下の罰金が科せられる。警視庁は18日、聴衆が演説を聞けなくなったなどとして根本氏の陣営に警告を出した。
しかし、つばさの党の黒川敦彦代表は25日、報道各社の取材に「法律で認められている表現や選挙、政治活動の自由の中でやっている」と主張。7月の都知事選に自ら出馬し、同様の行為を行う考えを明らかにした。
こうした行動は、国会でも議論を呼び、22日の衆院予算委員会で岸田首相は「選挙制度の根幹に関わる事柄として、各党、各会派で議論するべき課題だ」と述べた。野党の一部も、公選法改正による規制強化に向けて議論を始める考えを示した。
選挙制度に詳しい白鳥浩・法政大教授は、「選挙活動が妨害されると、候補者の主張を知る権利が侵害される。脅迫や道路交通法違反に該当する行為があれば、警察は選挙期間中でも適切に対処すべきだ」と話した。