学校の先生はいつ有給を使うのか 現役中学教員に聞く「ブラック職場としての学校」

子どもの成長を支える場でありながら、ブラック労働環境が問題視されている学校現場。ニュースなどでも盛んに取り上げられているテーマではありますが、実際に働いている教員は、どのような思いを抱いているのでしょうか。

本記事は、公立校の中学教員であるAさん(仮名)に「1人の一般教員として感じている“学校の労働環境の問題点”」を語ってもらう連載企画となります。

●夏休みなど長期休暇中の教員の仕事

―― 学校には夏休みなどの長期休暇がある。「教員の仕事はブラック」といわれているけど、そのあいだは何をしてるの?

今はちょうど夏休み(取材時8月半ば)だけど、仕事してないわけじゃないよ。

夏休みの期間は地域にもよるんだけど、7月20日~8月最終週くらいまでの学校が多いかな。この場合だと、7月中は家庭訪問と三者面談。家庭訪問は1日8軒くらいまわるんだけど、1つの家庭で20分くらい話して、次の家庭に移動して……とやっていると9時スタートで、16時過ぎまでかかったりする。

続く8月上旬は部活が忙しくて、3年生の最後の試合があったり代替わりが起こったり、重要なイベントが集中する。お盆休みを過ぎたら、2学期の準備や職員研修が待ってる。

―― 冬休みは?

12月25日ごろ~1月8日くらいまで続いて、約2週間の休暇になる学校が多い。俺が知ってるスケジュールだと「12月28日まで部活があって、29日~1月3日まで休む」というのが一般的。

ここ数年、年末などには「閉庁日」といって学校が開かない日ができたんだけど、30日まで部活があったりして休めなかったねえ……。12月29日に大会があったりしてさ。

正月三が日は休めるけど、1月4日から勤務が始まって、3学期の準備や部活をやる。

―― 春休みは?

3月26日くらいから始まって、まずは「指導要録」というものを作る。法的に作成が義務付けられている指導、成績などについて記録した書類。“学校に保管する用の通信簿”と思ってもらえばいいと思う。

春休みも部活や大会があるんだけど、3月31日、4月1日は休みになることが多いね。前にも話したけど、3月31日はリンサイ(臨時採用教員の略)の契約が途切れて、年に1日だけ無職になっちゃう日だから。

4月1日は人事異動の日。顧問が異動してる可能性があるから、部活はやりにくい。さらに言うと、各教員の担当学年も決まってないから、この日は他の仕事もできない。

だから、4月1日は「年に一度しかない、教員が何も気にせずゴロゴロできる日」だと思う。ちょっとだけ学校に顔を出して、異動してきた人にあいさつしたら、有給を使う場合が多い。

翌日には職員会議が始まって、誰がどの学年を担当するか、クラスを持つかなどが決まる。以降は、始業式まで新学期の準備に追われる感じだね。

●「趣味はパチンコ」の教員が多いのは、休みが取りにくいから?

―― ゴールデンウイークなどの長期連休は何してるの?

長期連休に合わせて、部活の大会が行われることが多い。多くの学校が参加できるタイミングというのもあるだろうけど、そもそも部活は教育課程外で、授業がないときにやるべきものだからね。

このあたりの事情はポジションによっても違って、“副”顧問の場合は出番が少ないから、休みやすかったり。夏休みの部活くらいしかない時期だと、有給も取りやすいかな。

―― そういえば、教員っていつ有給使ってるの? 「今日は先生が有給を取ったので自習です」みたいな経験がないんだけど

付与される有給は年間20日、夏季休暇、リフレッシュ休暇などを合わせると使える休みは30日ちかい。

―― かなり手厚いね

でも、実際には使い切れない人がほとんどじゃないかなあ。いろいろ話した通り、授業がない時期も仕事はあるわけで、2年経過して消滅した有給がどれほどあるか……。

ちなみに、生徒にトラブルが起きたりすると呼び出しを受けるから、いつ、どれくらい休めるかよく分からないところがあって。遠出もしにくいせいか、パチンコを趣味にしてる先生はけっこう見るよ。フラッと遊びに行けて、都合がいいのかね。

他人が好きでやってることだし悪いとは言わないけど、職員室のその手の会話は生徒に聞かせられないよね(笑)。「あそこの店はよく出る」だの「こないだはいくらスッた」だの「今度一緒に打ちに行きましょうよ」だの、ずっと話してる人いるもんなあ……。

(続く)

※本企画は、1人の現役教員の声をそのまま記事化したものです。実際の労働環境は自治体、学校などによって異なる可能性があります。