「性行為強要」の釈明会見に妻同席の岸和田市長は”母に助けを求める子供”。妻の発言にも違和感があるワケ

<亀山早苗の恋愛時評> 次々と報道される有名人の結婚離婚。その背景にある心理や世相とは? 夫婦関係を長年取材し『夫の不倫がどうしても許せない女たち』(朝日新聞出版)など著書多数の亀山早苗さんが読み解きます。(以下、亀山さんの寄稿) ◆「性行為強要」で訴えられた岸和田市長 大阪府岸和田市の永野耕平市長(46)が、23日、「不倫釈明会見」をおこなった。とはいえ、これはある女性からの提訴を受け、民事裁判で「和解」が成立したことを報告したものだ。 女性は2019年から1年半の間に、永野市長から何度も性行為を強要され、PTSDを発症して提訴に至った。最終的に500万円で和解したが、女性は和解などしたくはなかった、さらなる闘いに挑むには心身ともにぼろぼろだった、自ら命を絶つしかないとまで追い詰められた、悔しいとコメントを発表している。 それに対して市長は、「性被害という事実はございません。僕は自分に非があるとは思っていません」と述べた。 非があると思っていないなら、なぜ500万円を払ったのか、性被害はなかったというならなぜ相手を名誉毀損等で訴えないのか。市長への疑問は募る。 密室のことは他人にはわからない。女性は泣きながら拒絶したのに精神的暴力で抑えつけられた、異常な執着をされたと言う。ところが市長は「同意のもとだった」と言うのだから、真実はどこにあるのか判断しづらい。 ただ、前述したように同意のもとであるなら、市長は相手が嘘をついていると糾弾すればいいのに、それをしようとはしない。 ◆夫の釈明会見に妻が同席……信頼なのか使命なのか 驚かされたのは、この会見、途中から市長の妻が同席したことだ。楚々(そそ)としたタイプだが意志の強そうな女性ではある。 市長は「なぜ妻が同席したかというと、この事件は当初から夫婦で対応してきたから」だと語った。隣にいる妻は、夫と目を合わせることはなく、小声ながら、「事実じゃない報道ばかりでしたから。性被害はまったくないと思っていましたから」ときっぱりと言った。 第三者には判断できない「性加害の有無」を、なぜ妻はキッパリ否定できるのだろう。夫の言葉を鵜呑(うの)みにして信頼しているから? あるいは夫の立場を守るのが妻の宿命だから? もし性被害があったとするなら、妻の言い分はセカンドレイプに近いことになる。 そもそもなぜ、こんな会見に出てきたのか。夫のしたことは夫が自分ひとりで責任をとればいい。なのに夫に頼まれたのか、自ら夫の正義を証明しようとしたのか(前者に見えてはいたが)、公の記者会見に出てきた意図がわからない。全国に顔をさらしてまで、夫の性加害はなかったと訴える必要があったのかどうか。