少子化の進行、想定より15年早く…昨年の出生数は過去最少72万988人で9年連続最少

厚生労働省は27日、2024年の国内の出生数(速報値)が過去最少の72万988人だったと発表した。前年の速報値から3万7643人(5・0%)減少し、9年連続で最少を更新した。速報値は日本で生まれた外国人などを含んでおり、6月に発表される日本人のみの出生数は、70万人を割り込む公算が大きい。
発表された24年の人口動態統計の速報値によると、死亡数は前年比1・8%増の161万8684人で、過去最多を4年連続で更新した。死亡数から出生数を引いた人口の「自然減」は89万7696人で、減少幅は前年より約6・5万人拡大し、過去最大となった。第1次ベビーブームで生まれた「団塊の世代」全員が25年に75歳以上となる中、死亡数は今後も増え続け、人口減少は加速するとみられる。
婚姻件数は49万9999組で、90年ぶりに50万組を下回った前年(48万9281組)から2・2%増えた。ただ、新型コロナウイルスの影響で婚姻数は19年(59万9007組)から20年(52万5507組)に大きく減っており、コロナ禍前の水準には戻っていない。
国立社会保障・人口問題研究所が23年に公表した将来推計(中位推計)では、外国人を含む出生数が72万人台に落ち込むのは39年と見込んでおり、少子化は想定より15年早いペースで進んでいる。出生数は全都道府県で前年より減少した。
国内で生まれた日本人のみの出生数は、公表されている24年1~9月の集計では前年同期から5・9%減少しており、23年の日本人のみの出生数の確定値(72万7288人)を基に推計すると、24年は68万人台となる可能性がある。
石破首相は27日、首相官邸で記者団に、出生数について「減少に依然として歯止めがかかっていないことはよく認識しなければならない。少子化対策に注力したい」と語った。
日本人の出生数は、第1次ベビーブームの1949年に最多の269万6638人を記録したが、第2次ベビーブームの73年に209万1983人に達して以降は減少傾向が続き、2016年に100万人を割り込み、19年に90万人、22年に80万人も割り込んだ。