引き取り手のない遺留品、14年たった今も47万点…保管の自治体「いつまで続けるべきか」

関連死を含む2万2228人の死者・行方不明者を出した東日本大震災は、11日で発生から14年となる。被災地では人口流出や復興事業で整備された施設の維持などに加え、がれきから見つかった遺留品の保管も課題となっている。引き取り手のない遺留品は少なくとも47万点に上っており、自治体は経年劣化や保管費用の負担に苦慮している。
持ち主が分からない日記や写真、ランドセルなどの遺留品は大半が津波にのまれたとみられ、これまでに190万点が遺族らに返却されている。引き取り手のない遺留品について、読売新聞が岩手、宮城、福島3県の沿岸37市町村に尋ねたところ、14市町が「処分」したとするのに対し、15市町村が外部への移管などを含めて「保管」を続けていると回答。8市町村は「収集なし」「返却済み」などとした。
すでに処分した自治体は「劣化が進み、場所の確保も困難」(福島県楢葉町)などを理由とし、保管を続ける自治体からも「引き取り手が年々減り、いつまで続けるべきか」(岩手県釜石市)との声が上がる。
岩手県陸前高田市の一般社団法人「三陸アーカイブ減災センター」は写真7万4000枚、トロフィーや獅子頭など物品2400点ほどを保管している。4年前に市が事業を取りやめたため、復興庁の「心の復興事業」補助金や寄付金で独自に活動を続ける。ただ、保管場所の確保や返却会の開催などに年間500万円超の支出が生じる。補助金がいつまで続くか不透明で、秋山真理代表理事は「被災した人が必要な時に思い出の品を探せるよう支援を継続してほしい」と訴える。
一方、全体のうち14市町村は、写真や物品の画像を「デジタルアーカイブ」として電子記録に残している。約5000点を11日から処分する福島県いわき市は、いわき震災伝承みらい館で遺留品の画像をデータベースで閲覧できる。同館の担当者は「複雑な思いもあるが、一つの区切りとしたい」と語る。

警察庁や復興庁などによると、関連死はこの1年で6人増の3808人。避難者は1713人減ったが、現在も2万7615人に上っている。東京電力福島第一原発の事故を受け、福島県民が9割ほどを占める。