いよいよ今週末13日に開幕が迫る大阪・関西万博。3日間で約10万人が参加した「テストラン」(4~6日実施)では次々と課題が浮き彫りになったが、政府関係者は“成功”を信じて疑わない。
日本国際博覧会協会(万博協会)は6日、会場内西側のグリーンワールド工区で基準値超えのメタンガスを検知したと発表。ガスが検知された地下ピットのフタを開けて自然換気するまで、内部のガス濃度は一時、着火すれば爆発する可能性がある5vol%を超えていた。
■充電難民が続出
再び爆発事故が起きる可能性があるだけでも来場をためらわせるのに十分だが、会場内の“おもてなし”もパッとしない。5日のテストランに参加した大阪市在住の男性(45)が言う。
「12時入場予定でしたが、会場内に入れたのは13時ごろ。日本関連のパビリオンは予約殺到で見学できず、空きが出そうになってもすぐに埋まってしまう。地図やパビリオンの空き状況などをスマホでチェックしているので充電が減ってしまうのですが、肝心の充電スポットがない。何らかの対策をしないと『充電難民』が続出すると思います。雨や日差しを遮る場所が基本的に大屋根リングの下なのもネック。休憩用に竹を組んで作られたベンチが点在するものの、雨や日差しを避けられるシロモノではなく、座り心地もイマイチでした」
5日は約3万人がテストランに参加。万博協会は1日あたり最大22万人超の来場者を見込むが、その7分の1の来場者数ですら、このありさまだ。
開幕すれば、来場者が伸びるはず
しかし、万博準備を進める当事者は危機感ゼロだ。万博の成否を占うチケット販売の損益分岐点は1840万枚。赤字を逃れるには、前売りチケット約1100万枚を除き、残る700万枚をさばかなければいけない。有名テーマパークに匹敵する1日あたり約4万人分のチケットを売らなければならない計算だが、万博を担当する霞が関幹部は「大丈夫でしょう」と超楽観的だ。
「2005年の愛知万博よりも大阪万博は前売りチケットの販売状況が良好です。愛知の時も前評判は散々でしたが、開催後に人気が広がり、当初目標の1500万人を最終的に700万人以上も上回りました。大阪万博も開幕すれば、来場者がガッと伸びるはず。損益分岐点は超えるとみています」
赤字万博に陥った場合の対応として、国も大阪府・市も経済界も「補填しない」と明言している。最大の問題を棚上げする余裕はないはずだが……。
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2日目のテストランを視察した小堀セイジ堺市議(立憲民主党)によると入場までの待ち時間はなんと119分。本番では一体どうなってしまうのか。●関連記事【もっと読む】 『入場まで2時間待ち!大阪万博テストランを視察した地元市議が惨状訴える…協会はメディア取材認めず』で詳報している。