参院自民党、「食料品の消費税率2年程度ゼロ」公約に盛り込むよう森山幹事長へ意見書…「野党と同じでは票失う」の声も

参院自民党が夏の参院選を意識し、物価高対策としての消費税減税をはじめ、政府や党執行部に強気の要求を繰り返している。財源確保策などの現実性よりも「国民受け」を重視し、野党と同じ立場に立つことが多く、自民内では反発も出ている。
自民の小野寺政調会長は10日、福井市での党会合で講演し、「私どもは財政規律を守りながら、経済の後押しをしていく」と強調した。自民内で消費税減税を求める動きをけん制する狙いがあったとみられる。
自民の松山政司参院幹事長は4月24日、食料品の消費税率を2年程度、0%にすることを柱とした意見書を森山幹事長に提出し、参院選公約に盛り込むように求めた。
参院自民では、立憲民主党などの主要野党がそろって消費税減税を掲げていることに危機感が強い。しかし、森山氏や小野寺氏ら党執行部は財源の手当てができないとして、結局取り合わなかった。
意見書では、税率引き下げまでの「つなぎ」として現金給付を求める声が改選を迎える参院議員らにあったことも紹介されたが、石破首相(自民総裁)は一律の現金給付も見送る方針だ。
参院自民の要求は、医療費が高額な患者の負担を軽減する「高額療養費制度」の自己負担上限額の引き上げや、年金改革関連法案を巡っても注目された。
高額療養費制度では、患者団体などの反発が強いことを懸念し、引き上げ断念を求めた。首相はいったん実施を決めたが、最終的に見送りに追い込まれた。
年金法案については、厚生年金の積立金を活用した国民年金の底上げ策に批判が多いなどとして、国会に提出しないように訴えた。党執行部は法案から底上げ策を削り、今月中旬にも提出する構えだ。
参院自民が主張を強めているのは、参院選に向け、世論の動きに敏感になっていることが大きい。執行部の一人は「野党と同じ主張をすれば、失う票の方が多い」と嘆く。ただ、自民の参院選公約には目玉がないのが実情で、「選挙戦を心配する参院自民と執行部の不協和音は当面続くだろう」との見方もある。