高齢者を熱中症から守ろうと、東京都品川区は今夏から、区内の75歳以上の後期高齢者がいる全世帯に、スポーツドリンクなどの飲料を無償配布する方針を固めた。配送に当たる事業者に委託し、各世帯の高齢者が適切に冷房を使えているかなどの確認も同時に行う。
区によると、高齢者の熱中症対策のため、自治体がこうした取り組みを行うのは全国的にも珍しいという。
配布対象は、75歳以上の住民がいる区内の約3万6600世帯。所得制限は設けず、1世帯につき計24本の飲料を、7~9月に2回に分けて配布する。
配送の際には玄関先などへの「置き配」は行わず、委託を受けた運送事業者が高齢者と対面し、タブレット端末のチェックアプリを使って体調や冷房の使用状況などの項目を確認する。各世帯の情報は区が収集・分析し、支援が必要な人は地域の民生委員などに状況を確認してもらうという。
総務省消防庁によると、昨年5~9月の全国の熱中症による救急搬送者数は9万7578人で、2008年の調査開始以来最多となった。また、厚生労働省によると、2023年に熱中症が原因で死亡した1651人のうち、75歳以上が6割超の1057人を占め、高齢者の熱中症対策は全国的な課題となっている。