気象学者の増田善信さん死去 101歳 「黒い雨」範囲見直し調査

広島原爆投下直後に降った「黒い雨」の降雨範囲を現地調査し、1989年に従来の援護対象区域よりも広い範囲で降ったとする論文を発表した気象学者の増田善信(ますだ・よしのぶ)さんが9日、肺炎のため死去した。101歳。通夜は13日午後6時、葬儀は14日午前11時半、東京都狛江市元和泉1の13の18の泉龍寺別院。喪主は妻敏恵(としえ)さん。
49年に気象庁の前身である中央気象台に入り、84年の定年退職後、黒い雨の降雨範囲を見直す調査に専念した。黒い雨を巡り、国は雨が降った地域を特定し、援護対象としていたが、増田さんは現地で聞き取り調査をし、さらに広範囲の降雨図「増田雨域」を作成した。
黒い雨を浴びて健康被害を受けたと訴えた援護対象区域外の住民らを幅広く被爆者と認めた2021年の広島高裁判決で、「増田雨域」は有力な根拠の一つとなり、原告勝訴に大きく寄与。対象区域拡大につながった。