名古屋城のシカ、“絶滅”危機 56頭→2頭 市が対策へ

名古屋城の内堀に放し飼いされているシカが、最盛期の56頭から現在は2頭にまで減っている。“絶滅”を防ぐため、名古屋市は対策に乗り出す。
市によると、名古屋城のシカは1945年の名古屋空襲で天守や本丸御殿が焼失したことを受け、「来場者の楽しみになれば」と52年に東山動植物園(同市千種区)からヤクシカ3頭を譲り受け、放したのが始まり。繁殖を繰り返し、77年には56頭まで増えた。
その後は野犬に襲われたり、病死したりするなど次第に減少。91年に和歌山城公園動物園(和歌山県)からホンシュウジカ3頭が贈られた。現在残るシカはその子孫とされる2頭で、いずれもメスの親子とみられる母「もみじちゃん」と子「やまむらちゃん」。人間の年齢に換算すると60歳と40歳という。
23日の市議会定例会で、浅井正仁市議(自民)が和歌山県のレジャー施設「アドベンチャーワールド」からオスのシカを譲り受けることを提案した。
広沢一郎市長は「名古屋城のシカは内堀で飼っていること自体が他の城郭と比べても大変珍しく、多くの来場者に親しまれている。シカがいなくなってしまう事態は避けたい」とし、アドベンチャーワールドに担当職員を派遣させる考えを明らかにした。【式守克史】