青森の障害者施設で虐待疑い 拘束や殴打、日常的に繰り返しか

青森県五所川原市の障害者支援施設「栄幸園」の職員が入所者に虐待行為をした疑いがあることが、毎日新聞の取材で判明した。虐待行為は日常的に繰り返されている可能性があり、同市は事実関係の確認を進めている。
関係者によると、今年4月中旬、同園の女性職員が部下の女性支援員に対して、女性入所者が立ち上がって動き回らないようにすることを指示。女性入所者を食堂で車いすに乗せたまま、長机と椅子で押しつけるように囲み、拘束状態にした。女性入所者は知的障害者で意思疎通が難しい状況だったという。
一方、2024年8月には、入所者が集まっていた部屋で、立ち上がって出入り口のドアをたたいた男性入所者に対し、見守っていた男性職員が顔面を殴打。24年10月には別の職員が、ベッドに横たわって大きな声を上げた男性入所者のをたたく姿があった。いずれも画像や動画で記録されているものを確認した。
虐待行為について、市は既に聴取している。市福祉政策課は「事実確認を進めていく。悪質だった場合は、障害者虐待防止法に基づき、県から行政指導などの処分がある」と話した。
「栄幸園」は1991年に開設し、社会福祉法人「愛生会」(寺田スズエ理事長)が運営。園内で生活する施設入所者(定員40人)と、自宅から通う利用者に就労支援などを行う通所利用者(定員20人)を受け入れている。
寺田理事長の次男で、同園の総合施設長を務める県議の寺田達也氏は毎日新聞の取材に、一連の画像や動画が園内で撮影されたものであることを認めた上で「(自身は)把握しておらず適当なことは言えないので、まずは確認させてほしい」と話した。
青森県の宮下宗一郎知事は7月1日の定例記者会見で「一般論として、施設での虐待はあってはならない。まず、市の方で障害者虐待防止法に基づく権限で事実関係を明らかにしてほしい」と述べた。【松本信太郎】