【AFP=時事】ドナルド・トランプ米大統領が最近の米軍によるイラン核施設攻撃を1945年の広島、長崎への原爆投下を引き合いに正当化したのを受け、広島市の松井一実市長は2日、トランプ氏に被爆地を訪問し、被爆の実相への理解を深めるよう求めた。 松井氏は記者会見で、「被爆の実相を理解していない」「原爆が使用されれば敵味方の区別なく命を奪い、人類の存続にも関わると理解していないのではないか」として、被爆地を訪れ、原爆投下の実態を目の当たりにし、広島の心を感じてから発言してほしいと述べた。 米国は1945年8月6日、広島に原爆を投下。8月9日に長崎に原爆を投下した。8月15日に日本は降伏し、第2次世界大戦は終結した。 広島で約14万人、長崎で約7万4000人が亡くなり、その多くは放射線被ばくの影響によるものだった。核兵器が実戦で使用されたのは、広島と長崎のみ。 イスラエルによるイランへの数日間の攻撃の後、米国は今年6月22日にイランの核施設を爆撃した。 その直後、イランとイスラエルは停戦に合意し、12日間の戦争に終止符が打たれた。 トランプ氏は25日、ハーグで開催された北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で「広島や長崎の例を使いたくないが、本質的には同じことだ」「あれ(原爆投下)が戦争(第2次世界大戦)を終わらせ、これ(核施設攻撃)も戦争(12日間戦争)を終わらせた」と述べた。 トランプ氏の発言は被爆者の怒りを招き、広島では小規模なデモが行われた。広島市議会は先週、原爆使用を正当化する発言を非難する決議を可決した。 【翻訳編集】AFPBB News