自宅居間にクマ侵入か、81歳女性が死亡…周辺では5月中旬から18件の目撃情報

岩手県北上市の住宅で4日朝、血を流して倒れている住民の女性が見つかり、その場で死亡が確認された。女性の体には動物の爪で引っかかれたような傷が多数あったことなどから、県警は室内に侵入してきたクマに襲われたと断定して詳しく調べている。環境省によると、住宅でクマに襲われて亡くなったのは今年初めて。
県警の発表によると、亡くなったのは同市和賀町山口の高橋成子さん(81)。4日午前7時40分頃、別の場所に住む家族が訪れ、居間で倒れていた高橋さんを見つけた。警察官らが駆けつけた際、家の窓はすべて施錠されていたが、玄関の扉は開いていたという。室内からはクマとみられる体毛や足跡も発見された。県内では4月以降、クマに襲われて11人がけがを負ったが、死者は初めて。
同地区は住宅が点在する地域で、5月中旬から18件のクマの目撃情報が市などに寄せられていた。現場近くに住む女性は7月3日、自宅1階の廊下で米袋をあさる体長1メートルほどのクマと遭遇し、2階の部屋に逃げ込んだという。「これまで人ごとだと捉えていたが、まさか自分の家にくるとは思わなかった」と話す。
クマの生態に詳しい東京農業大の山崎晃司教授(動物生態学)は「4月の長野県飯山市に続き、住宅に侵入したクマによる人身被害が起きた。これまでになかった事態で、再発防止のために徹底的に原因を検証するべきだ」と指摘している。