市職員採用試験で「女性はマイナス1点」公益通報…調査委「市長指示に蓋然性」も認定行わず

愛知県蒲郡市は9日、2013~14年度の正規職員採用試験で不正操作が行われたとする公益通報に関する調査結果を公表した。試験の採点を巡り、受験者が女性の場合はマイナス1点、市外居住者もマイナス1点、とする操作が行われたとの通報が寄せられていた。市の調査委員会は「蓋然性は相当程度ある」とした一方で、調査に限界があり、不正の有無についての認定は行わなかった。
報告書によると、昨年4月、市職員から通報があった。不正操作は主に2点で、〈1〉13、14年度の採用試験で当時の市長から「地元の男をとれ」との指示があり、書類審査で女性と市外居住者の点数を1点ずつ引き下げた(満点は13年度は10点、14年度は5点)〈2〉受験者がパニック障害を患っているとの情報を受験者が通う学校側から違法に入手し、病気を理由に点数を引き下げ、不合格にした――との内容だった。
市は、弁護士らで構成する調査委員会(委員長・永戸力愛知大法学部准教授)を設置。12年度~14年度の試験に携わった職員や元職員、元市長などから事情を聞いた。
その結果、女性と市外居住者の点数引き下げについては「市長から指示があった蓋然性は相当程度ある」とし、病気を理由とする点数引き下げについても「可能性はある」とした。しかし、いずれも「10年以上前の事案であり、事実として認定するまでには至らなかった」と結論づけた。
これを受け、市は来年度以降に実施する試験について、書類審査を廃止するなど4項目の対策を行い、公正な採用試験実施の徹底に努めるという。
鈴木寿明市長は「『相当程度の蓋然性がある』という結果を重く受けとめ、今後は組織として疑いをもたれないよう、法令遵守(じゅんしゅ)を徹底し、信頼回復に全力で取り組んでいく」との談話を発表した。