再審無罪前川さん、言い渡しから一夜明け父に報告 「家族にとって39年の集大成」

福井市の中学3年の女子生徒が殺害された事件の再審判決公判で、名古屋高裁金沢支部から18日に無罪を言い渡された前川彰司さん(60)は、一夜明けた19日、父の礼三さん(92)のいる同市内のサービス付き高齢者住宅を訪れた。親子の悲願だった再審無罪を報告し、固い握手を交わして互いに喜びを分かち合った。
この日、母親の墓参りをした前川さんは、平成7年の大阪市東住吉区の女児死亡火災で殺人などの罪で服役し、再審無罪が確定した女児の母親の青木恵子さん(61)らと施設を訪問。部屋には、前川さんの再審に関する記事が載った新聞が折りたたまれ積まれていたという。
前川さんによると礼三さんは「よかった。よかった」と顔をほころばせ、会話の途中、時折目に涙を浮かべることもあったという。
前川さんはその後の会見で「うれしさで夜はほとんど眠れなかった」と明かし、「父もずっとこの事件に対して悔しい思いをしてきた。大変喜んで、『いつ死んでもいい』とまで言っていた」と語った。その上で、「ありきたりなやりとりだけど、家族にとっては(事件発生から)39年の集大成だ」と改めて喜びをにじませた。
礼三さんは18日、前川さんの再審無罪判決を受け、「心の傷が癒やされた思い。長い戦いだったが戦い続けたかいがあった」とコメントを寄せていた。