自公が参議院でも過半数割れ、「石破降ろししかない」との声も…続投明言の首相に待ち受ける難路

参院選で自民、公明両党の与党は、目標に掲げた50議席を下回る47議席の獲得にとどまり、参院の過半数(125議席)を割り込んだ。衆院に続き、参院でも「少数与党」となる惨敗を喫したが、石破首相(自民総裁)は続投を明言しており、21日午後の記者会見で正式表明する。自民内では首相の責任を問う声も出ており、政権運営は困難さを増しそうだ。
首相は記者会見に先立つ同日午前、参院選の結果などを踏まえ、首相公邸で秘書官らと今後の対応について協議した。その後、党本部で臨時役員会に臨んだ。自公連立政権の継続を確認するため、昼には公邸で、公明党の斉藤代表と会談した。
自公の獲得議席は、改選66議席を大幅に下回り、首相が今回の参院選の「必達目標」と位置付けていた50議席にも届かなかった。自民党の政権が衆参両院で本格的に過半数を割るのは、結党以来初めてだ。
首相は昨年10月に就任して以降、衆院選、東京都議選に続く大型選挙での3連敗となるが、政治空白を避ける必要があるとして続投の意向を示している。20日夜の日本テレビの番組では、厳しい安全保障環境や人口減少への対応が急務だと訴え、「比較第1党の責任はきちんと果たしていかなければならない」と語った。米国の「相互関税」が25%に引き上げられる8月1日を前に、「全身全霊で(対米交渉に)立ち向かっていかなければならない」とも強調した。
斉藤氏も21日未明、記者団に「首相の決意として受け止めたい」と述べ、続投を支持する考えを示した。「自公が軸になって国政を前に進めなければならない」とも訴えた。
8月上旬には参院選後初の臨時国会召集が見込まれ、参院の正副議長が選出される。首相が辞任しない限り、首相指名選挙は行われない。
首相の党総裁任期は2027年9月までだが、党則では、国会議員と都道府県連代表の過半数の要求があれば、総裁選を前倒しで実施できると定めている。閣僚経験者の一人は、「自ら辞任を表明しないならば、『石破降ろし』をするしかない」と語った。
政権の一層の弱体化は避けられない情勢だ。予算案や法案を成立させるには、今後は参院でも野党との政策協議と合意形成が不可欠となる。首相は20日夜のテレビ東京の番組で、政権安定のために連立枠組みを拡大する可能性を問われ、「当然、選択肢としてある」と言及したが、野党側が応じるメドは立っていない。