首都高速道路美女木ジャンクション付近(埼玉県)で昨年5月、6人が死傷した事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)罪に問われたトラック運転手の降籏紗京(ふりはた・さきょう)被告(29)の公判が24日、東京地裁(大川隆男裁判長)で開かれた。被告人質問で降籏被告は「申し訳ないことをしてしまった」と謝罪した。
法廷では、遺族らも被害者参加制度を使い質問に立った。
亡くなった船本宏史さん=当時(54)=の妻、恵津子さんが「主人の名前をフルネームで言えますか」と聞くと「言えません。そこまで覚えきれていません」と返答。杉平裕紀さん=当時(42)=の妻、智里さんは、被告の供述調書に被害者や遺族の話題がないことについて、「(事故後に)死なせてしまった3人のことを考えなかったのか」と質問。被告は、「事故が何かの間違いなんじゃないかと認めきれていなかった」と明かした。
公判の後に会見した智里さんは、「薄っぺらいことを言っていて、私たちの苦しみとの温度差にがっくりした」と話した。
この日は児童買春・ポルノ禁止法違反罪についての追起訴審理もあり、被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。検察側の冒頭陳述によると、事故後に任意提出した被告の携帯電話から男児、女児の動画や画像が発見され、発覚した。
起訴状などによると、被告は昨年5月14日午前7時35分ごろ、首都高で渋滞の最後尾に追突。3人を死亡させ、ほかの3人に頸椎(けいつい)捻挫などの傷害を負わせたなどとしている。
事件を巡っては、被告の体調不良を知りながら運転させたとして、警視庁が4月、業務上過失致死傷容疑で、勤務先の運送会社「マルハリ」元社長の男を書類送検した。