横浜市の中学校給食調理工場に関する昨年度の定期調査で、「蓋に汚れがあっても使用しようとしていた」「強い異臭がしていた」などの指摘がなされていたことが24日、産経新聞の情報公開請求で分かった。市教育委員会学校給食・食育推進課では「大変申し訳ない。指摘事項はその都度確認し、改善できるように努力しているところ」としている。
情報公開されたのは昨年4月から今年3月にかけての「食品製造工場 衛生調査報告書」。対象工場名や添付写真は黒く塗りつぶされ、非公表だった。
同課によると、横浜市の中学校給食は各校で受けた注文を契約4社に発注(一部は再委託)している。報告書は、市教委から衛生管理状況の調査の委託を受けた業者が月2回、契約各社の計5工場を調べて作成しているもので、市教委ではこれに基づき契約各社に改善を促すなどしている。
それによると、「盛付室荷捌き所近くの排水溝にて、強い異臭がしていた」「ゴミ箱のゴミがあふれており、すぐ横に食材の入ったコンテナが置いてあった」「フライヤー上部にクモの巣が見られた」といった報告があり、衛生面の問題を指摘された工場があった。「蓋にささくれや汚れがあっても気づかず使用しようとしていた」との記述もあった。
また、「前日の洗い残しの容器が山積みになっていた。夜中にこの状態で置いておくと鼠族や衛生害虫の発生にもつながるため、洗浄が当日中に終わるように人員確保に努めていただきたい」との指摘もあった。
同市の中学校給食をめぐっては昨年度、異物混入などの報告が342件あったことが明らかになっている。混入した異物で最も多かったのは毛髪だったが、「何名かのスタッフの毛髪がはみ出していた」などの指摘は頻繁になされていた。
調理などについては「魚に振る塩の量に、かなりのばらつきがある」「主菜の盛付にばらつきがある。(全体量も極端に少なくにんじんが一つも入っていない個体があった)」との指摘があった。
そのほか、「湘南ゴールドゼリーの盛付時、ゼリーの汁が蒸ししゅうまいにかかっていた」「チキンカツの検品にて、コンテナ内で転がすように行い、チキンカツから落ちたパン粉が多くコンテナ内に残っていた」との報告もあった。
同市では来年度から中学校給食が選択制から全員給食に移行する方針で、食の安全性を求める声がさらに強まることになりそうだ。(橋本謙太郎)